2021.11.18
「カスタマージャーニー」とは、設定した顧客像(ペルソナ)が、実際に商品やサービスの利用にいたるまでの、行動・思考を分析するマーケティング手法のことです。
今回は見込み客の獲得や集客拡大に欠かせない「カスタマージャーニー」について、その必要性や具体的な作成方法・実際の取り組み事例などについて見ていきましょう。
カスタマージャーニーとは、企業の製品・サービスの1つを利用する顧客の消費行動を、時系列で視覚化したもののこと。直訳すると「顧客の旅」という意味となります。
例えば、あなたがレストランを経営していたとしましょう。店に訪れるお客様の行動プロセスとして、以下のようなパターンが考えられます。
【来店までの行動プロセスの例】
・たまたま店の前を通りかかり、オシャレな看板が目に入ったので、立ち寄ってみた。
・地元の情報誌にクーポン券が付属されており「お得だし行ってみよう」と訪れた。
・職場の同僚が「美味しかった」と言っていたのを聞き、会社からも近かったので、昼休みにやってきた。
・友人のインスタグラムで料理の写真を見かけ、女性ウケしそうだったので、彼女を誘って来店した。
・食べログで「ランチ 地名」と検索したらヒット。口コミやメニューがしっかり掲載されており、イメージが湧きやすかったので足を運んだ。
このように「お客様それぞれがあなたのお店を知り、実際に来店するまで」の行動プロセスは多岐に渡ります。これがカスタマージャーニーです。
カスタマージャーニーが企業にとって必要な理由は「顧客視点にたつことで、マーケティングの全体像を把握し、最適な施策を打つため」です。企業からすれば、整理・棚卸といった側面もあるでしょう。
カスタマージャーニーで顧客の行動を明らかにしていない場合、企業側としては「そもそもいったいどのタイミングで、何を目的に、どんな媒体やツールを活用して打つべきか」が、曖昧な状態のまま施策を検討することとなります。
結果として「最近、インスタグラム広告が流行っているときいて運用をはじめたけれど、費用対効果があわないんだよね」「サイトのリニューアルをしたものの、いまいち効果を実感できなくて」といった悩みに直面する企業は少なくありません。
対してカスタマージャーニーを作成し、顧客の消費行動を整理すれば、企業側は「消費者が認知から購入にいたるまで、A~Eの行動プロセスがある。だから○○の施策をAのタイミングに打つことで、A→Bフェーズの顧客数を増やそう」と、目的を明確にして、最適なタイミングで必要な手を打てるようになります。
「目的の明確化」「顧客の消費行動の把握」「自社サービスの強みの理解」など、自社サービスと消費者それぞれの全体像を改めて俯瞰(ふかん)的に把握できる点で、企業が自社のカスタマージャーニーを作成することは非常に重要です。
カスタマージャーニーを検討する際、その主人公となる「ペルソナ」の設定が非常に重要となります。「ターゲット」と混合されがちなペルソナですが、両者は似て非なるものであるため、改めて定義を確認しておきましょう。
ターゲット:自社製品やサービスを売りたい「層」を指し、ユーザー像を大まかに括ったもの。
(例:30代 男性サラリーマン、40代 主婦 など)
ペルソナ:自社製品やサービスを売りたい「代表的な顧客像」のことであり、年齢・性別などに加え、趣味趣向や行動習慣などを細かく設定する。
(例:35歳男性 / 商社勤務 / 独身 / 都内マンションへ単身暮らし / 年収700万円 / 趣味は友人とのドライブ・ゴルフ)
「特定の個人」を設定する点で、ペルソナはターゲットと比較し、よりリアルなユーザー心理や行動プロセスを検討しやすくなるという利点があります。カスタマージャーニーでは、この「ペルソナ」を用いて、消費者行動の深堀りをおこなっていきます。
それでは実際、カスタマージャーニーはどういった流れで考えていくのか「作成の流れ」を見ていきましょう。
作成時は以下の流れに沿って、表に整理していきます(この表をカスタマージャーニーマップと言います)。
【主な流れ】
①ペルソナの設定
②顧客行動の設定
③顧客接点の記載
④ステージの記載⑤感情変化の記載
⑥課題整理
はじめに、ターゲットとなる顧客像である「ペルソナ」を設定します。性別や年齢、住所といった基本属性だけではなく、ライフスタイルや志向までを詳しく定義しましょう。
例:名前・性別・年齢・職業・年収・家族構成・居住エリア・趣味・休日の過ごし方・子どもの有無・消費行動の特徴・利用するSNSツールなど。
設定したペルソナが、サービスや商品を利用するまでの「行動」を洗い出しします。「商品について調べる」「サンプルを試してみる」など。このとき、最初にスタート地点(サービスを知る等)とゴール(商品の購入)は、あらかじめ設定しておきましょう。
顧客とサービス側の接点(場所)を整理し、記載します。例えば「店舗」「Twitter」「ECサイト」「チラシ」といった具合です。
②顧客行動と③顧客接点とが、ステージとしてどのように定義できるかを記載します。
例としては
・「友達のTwitterのつぶやきをみて、サービスの存在を知る」→「認知」
・「商品サンプルをwebサイトから取り寄せ、実際に使ってみる」→「比較・検討」
といった具合です。
②顧客行動と③顧客接点における、ペルソナの感情変化を記載します。このとき不満を感じている際には表の下方に、プラスの感情の際は上方に、ペルソナの気持ちを言語化して記入しましょう。
例えば飲食店であれば「席数が少ないから、昼間は待ち時間が長いなあ」や「すごく美味しくて見た目にもこだわってた。帰ったらSNSで呟こう」などの感情の変化が見られるかもしれません。
⑤感情変化をもとに、違和感のある部分を課題として定義し、アクションプランを検討していきます。アクションプランは「いつまでに」「誰が」「どのようにおこなうか」までを具体化し、実際に行動へ落とし込める状態にする必要があります。
カスタマージャーニーを効果的に活用されたことで、顧客契約数を伸ばされた企業さまの成功事例をご紹介します。
税理士法人 古田土会計さま
事業内容: 月次決算書・経営計画書の作成と運用アドバイス・税務申告・巡回監査・経営コンサルティング・給与計算/年末調整の代行
自社商品の「会計事務所向けサービス(Factory)への会員数を増やす」という目的から同社へのコンサルティングをご依頼いただき、カスタマージャーニーの活用をご提案した事例です。もともと自社でマーケティングチームを発足されていたものの、社内全体のマーケティングに対する意識が弱いことに課題を感じられていました。
そこで「カスタマージャーニーのワークショップ」を開催させていただき、ペルソナ像や、顧客の消費行動を洗い出したところ本来、自社がターゲットにしたい少人数の会計事務所さまに、今のやり方では「自分たちを対象としたサービスである」というメッセージが届きづらいという発見にいたります。
そこで既存の施策内容を、よりペルソナの視点にとって響くメッセージに変更。具体的にはホームページ文章やウェブ広告・メルマガなどの文面やデザインなどを、カスタマージャーニーの内容をもとに改良を重ねました。
その結果、導入から2か月弱で契約社数は50社から65社へと増大。アプローチ内容の改良に加え、ワークショップを通して社内間の連携意識や顧客に対する相互理解が強まったことも、成果につながった要因ではないかと思います。
カスタマージャーニーの作成を通じて、根本から自社の営業課題や顧客理解に向き合い、改善を図られた事例です。
▼「カスタマージャーニーマップを作成後、アプローチ先を定めてアクションを即実行。約2ヶ月で自社サービスへの入会者数を約15社獲得!」
今回は「カスタマージャーニーは」をテーマに、概要やその必要性・作り方のプロセスなどを解説いたしました。カスタマージャーニーの作成は「顧客理解」にとどまらず、企業が自社の現状や課題を改めて俯瞰的に見つめ直す上で、非常に効果的な手段といえます。
自社顧客について社内の相互理解を深めるためにも、カスタマージャーニーの作成に取り組んでみてはいかがでしょうか?
▼ オンライン受講可能な、3時間の「カスタマージャーニーワークショップ」の詳細はこちら
まずは資料請求から。無料の詳しい資料をお送りいたします。
以下のボタンをクリック!