2021.11.24
「MAツール(マーケティングオートメーションツール)」とは、企業が顧客との信頼関係を構築する上で欠かせないマーケティングツールです。しかし多くの企業が導入を検討しながらも、効果的な運用に課題を感じられているのも事実です。
今回はMAツール(マーケティングオートメーションツール)に関わる運用上の課題、改めてその概要や活用のメリット・実際に導入して成果をあげた企業の事例などをご紹介します。
MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、顧客情報の管理や分析・育成といった自社のマーケティング活動を、効果的におこなうためのITシステムのことです。顧客の消費行動が多様化する昨今、従来通りのシンプルな営業手法だけではフォローしきれない顧客に対し、より細分化されたアプローチを効果的に仕掛けるため、MAツールの活用が重視されています。
MAツール機能を使用すると、以下のような業務がおこなえるようになります。
・顧客情報の一元管理(名前・連絡先・業種や役職などの情報)
・顧客の商談までの確度を算出(スコアリング)
・メールマガジンの作成や配信
・行動データの把握・分析(WEBサイトへの訪問履歴や滞在時間を数値で把握できるなど)
・CRM(顧客管理)やSFA(営業支援システム)と連携(マーケティング分析で得た情報を、効果的に営業活動へ活用できる、等)
以下で具体的な活用事例を見ていきましょう。
あなたの会社が主催したセミナーへ、1年前に参加した「見込み顧客A社」があるとします。通常、セミナー前後で契約が取れなければ、その後しばらくは連絡を取らずA社を放置し、半年後や1年後に近況伺いとして連絡する……こんなパターンが多いのではないでしょうか。
しかしMAツールを導入し、A社の顧客情報をシステムで管理しながら、毎週1本のペースで「メールマガジン(以下、メルマガ)」を配信するとします。メルマガで「A社にとって価値のある情報」を届けることで、実際は接していない間もA社に対し、効率的なアプローチが仕掛けられます。
またMAツールでは「A社のメルマガ開封率」や「開封までにかかる日数」といった既存のメール配信ツールが持つ元々の機能の他、サイトの閲覧履歴やフォームへの登録を点数として加点する「スコアリング」といった、顧客データの蓄積・分析も可能です。そのため「以前はスコアに変動がなかったが、ここ1ヶ月でスコアが急激に伸びた。」と、見込み客の熱量が高いタイミングに合わせて、営業担当がアプローチを仕掛けられます。
このようにMAツールを活用することで、実際に接していない間もお客様との関係を築きながら、状態に合わせて最適な施策を打つことが可能となります。
先述したとおり、MAツールは「顧客を育成するためのツール」と言い換えられます。
・お客様に自社の商品・サービスの情報を正確に伝える
・(上記を踏まえ)お客様との信頼関係を構築する
この2つを目的に運用することで、見込み顧客だった層を、自社サービスへ関心度の高い顧客へと育成できます。
先ほどの「メルマガ」の例でも挙げたように、MAオートメーションツールを活用すれば、日常の中で見込み顧客へ有益な情報提供が可能です。「顧客へ1to1で届けるメッセージ」「広告では伝えきれない、自社商品やサービスの魅力や信頼性」「自社のサービスを活用することで、お客様にどんなメリットがあるのか?」などを知ってもらうことで、
「ちょうど導入を検討していたWEBサービス、確かいつもメルマガを配信してくれる会社が扱っている商材だったな。一度、話を聞いてみよう」と思い出していただけたり「(これまで自社で必要性を意識していなかったけれど)毎月送られるメルマガを読んでいると、有益性が理解できた。自社で導入した際のシミュレーションを出してもらおう」と、お客様の方から商品・サービスに関心を持っていただけたり、といった効果などが期待できます。
自社の商品やサービスはもちろん、会社そのものの信頼性を繰り返し伝えることで、お客様との信頼関係を構築し、顧客へと育てられるのがMAツールの導入目的と言えるでしょう。
「名前は知っているけど、自社で運用するイメージが湧かない」
「MAツールの機能は何となくわかるものの、実際に自社でどう役立つかわからない」
こういった理由で、MAツールの導入を先送りされたり、そもそも自社での活用を見送られている企業さんも多いのではないでしょうか。MAツールはあくまでマーケティング手段の1つであるため、現時点で貴社の課題解決に必要ないのであれば、無理に導入する必要はありません。
ただし、そもそも「自社にとってMAツールの導入が適しているのか」を検討するため、ツールに関する必要な情報を収集し、自社課題を洗い出して整理する工程は、会社の現状分析のためにも必要な過程でしょう。
「CX Value Lab」でも「課題特定」「戦略立案」「実行」の3つのフェーズを踏み、MAツールの活用が企業にとって最適解であった場合のみ、導入をおすすめしています。
①課題特定段階 (分析段階) | ・自社の製品・サービスの「提供価値」の整理と「現状とのギャップ」を分析 ・顧客像と顧客との接点を整理 ・製品・サービスの販売・事業戦略の構築 |
②戦略段階 (整理段階) | ・自社のターゲットや運用体制に合ったアクションプランの策定 ・実行策の選択基準を定義 |
③実行段階 (解決策) | ・MAツールを含め、様々な施策(サイト制作・LINE・CM・フリーペーパー・動画制作等) |
また「すでにツールを導入したものの、思う様な成果が出ない」ことに悩まれている企業もいらっしゃいます。こういった会社さんのよくあるパターンとして、
・MAツールを導入したものの、運用する人材が不足しており、ツールが活用されない
・社内へMAツールの価値をうまく周知できず、協力が得られない
・MAツールの最適な使い方がわからず、ツールを持て余してしまう
などが挙げられます。
こういった問題を解決するためには
・MAツール運用に対し、社内の人材リソースを十分に割く。
・経営者が自らMAツールの必要性を理解し、運用のため社員への呼びかけを積極的におこなう
・コンサルティングなど専門家を活用し、自社でMAツール運用が定着するためのサポートを依頼する
など、経営者のMAツール導入に対するコミットメントが必要不可欠といえます。
ITに抵抗のある企業様でも、半年間あきらめずにMAツールを運用しつづければ一定の成果を上げられている印象を受けます。MAツール活用のシステムが自社に根付くまで、PDCAを回しながら粘り強く運用を続けることが、MAツールの導入で成果をだす近道ではないでしょうか。
最後に自社でMAツールの導入をおこなった「株式会社ワクフリ様」の事例についてお話しします。
業種:業務効率のコンサルティング
事業内容: バックオフィス効率化支援・クラウド活用サポートサービス・補助金獲得サポート
株式会社ワクフリ様では、コンサルティングという「実体がないサービス」を販売することに課題感をお持ちでした。またこれまで回収した「顧客の名刺」があるものの、上手く営業活動へ活かせていないことにも、改善の余地を感じられていました。
そこでMAツールの導入を提案し、名刺など過去に集めた顧客情報データを、ツールを使って一括で管理することに。1度きりでは伝わらない、サービスの機能や活用事例・メリットなどを、見込み顧客に対してメルマガを用いて継続的に配信しました。
これらメルマガや顧客データの数値を分析することで
・自社サービスへの熱量があがってきたお客様へ、新しいオファーを提案する。
・自社で開催したイベント参加者のデータを集計し、その中からホットな見込み顧客へ絞って連絡する
といった、お客様の状態にあわせて適切なアプローチが仕掛けられるようになりました。
またメルマガでは、より顧客の心に響きやすい「1to1」の感覚を大事にしたメッセージを意識するなど、お客様との信頼関係作りにも力を入れています。結果として、これまで定まっていなかったマーケティングシステムのPDCAサイクルが確立され、お客様からの問い合わせ増加に繋がりました。
MAツールにより、潜在的な顧客の情報や関心度を可視化することで、属人的ではない効率的なマーケティングアプローチができるようになった導入事例です。
「株式会社ワクフリ様」のMAツールを活用し、問い合わせ増加につながった事例はこちら
今回は「MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは」というテーマで、その概要や活用で得られるメリット・過去の導入事例などをご紹介しました。
企業が顧客との関係を構築しより深い信頼を得ていく上で、MAツールは非常に有効な手段の1つと言えるでしょう。本記事がMAツールの理解について、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。