コラム

3C分析の正しい順番とやり方をわかりやすく解説(事例付き)

2021.12.20

3C分析は、自社を取り巻く市場や顧客・競合といった外部環境を分析することで、有効な戦略を立てるためのフレームワークです。より効果を高めるためには、正しい手順と方法で分析を進めることが重要です。

今回は「3C分析の正しい順番とやり方」をテーマに、3C分析の概要や取り組み方について、事例を用いて解説します。

3C分析とは

3C分析とは、マーケティング戦略におけるフレームワークの1つで、マッキンゼー日本支社長の大前研一さんが著書「ストラテジック・マインド ─ 変革期の企業戦略論」の中で提唱した概念です。

Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの「C」を分析することで、顧客ニーズや自社の強み・弱みに基づいた最適な戦略を導き出します。

3C分析の目的

3C分析の目的は自社を取り巻く市場や顧客、競合といった外部環境を調べることで、自社の事業成功に必要な要素=「成功要因 (KSF)」を明らかにすることです。

市場や顧客の動向・ニーズの変化を捉えつつ、競合に無い自社の強みを活かしたビジネスモデルを確立することが求められます。

駅近にある個人経営のコーヒーショップ(=自社)を例に3C分析の有効性を見ていきましょう。

競合A競合B自社(個人経営)
ブランド力×
1杯当たりの価格×
席の待ち時間×
フードメニューの充実さ×

個人経営のカフェテリアが、周辺の競合カフェに負けない、自社の強みを活かしたビジネスモデルの確立を検討しているとします。このとき自社は、A店・B店の特徴や自社の強みを活かして、どういった戦略を立てれば良いでしょうか?

まず、カフェを利用する市場のニーズとしては「ゆっくりカフェの空間でくつろぎたい」「予定合間のちょっとした時間に利用したい」「美味しい珈琲を飲みたい」「昼食時に利用したい」などの要素があると考えられます。

駅周辺でカフェを利用する顧客層としては、仕事の合間に利用するサラリーマン・勉強で利用する大学生などが多いようです。ビジネス層の多いエリアのため、写真映えや女子会で利用する層はあまり多くありません。

次に競合A・Bと比較したとき、個人経営である自社が、ブランド力や認知力で勝ることは難しいといえます。その分、地域密着型という特性をもつため、大手にはないきめ細やかな接客や、気軽に利用しやすいアットホームな雰囲気づくりに力を入れられることがわかります。

さらに、自社の強みである「食べ応えのある充実したフードメニュー」の要素を掛け合わせることで「気兼ねなくゆっくり寛げて、しっかり食事もできるカフェ」という、競合A・Bどちらとも異なるコンセプトを打ち出すことに決めました。

このように3C分析を活用することで「昼食時に利用したいサラリーマンや男子学生にターゲットを絞って、集客やメニュー開発に取り組んでいこう」など具体的な戦略を打てるようになります。

3C分析の正しい順番とその理由

3C分析では「市場・顧客」「競合」「自社」の3要素を、以下の順序で分析していきます。

1.Customer(市場・顧客)

2.Competitor(競合)

3.Company(自社)

最初に「市場・顧客」を分析することで、自社の所在する市場が今どのような状況で何が売れているのか、顧客ニーズはどうなっているか等を明らかにします。次にその市場観や顧客の動向を踏まえて「業界上位の会社はなぜその市場で生き残れているのか」の理由を分析(競合分析)することで、自社が所属する市場での「勝ちパターン」を明らかにできます。

「勝ちパターン」が明確になれば「それを自社で再現するためにはどうすればいいか?」という視点から、自社の「あるべき姿」と「現状」のギャップ取り組むべき戦略を立てることが可能となります。この勝ち筋を見出して現状との乖離から戦略を考えるという方法を取るために、3C 分析はあるべき順序を守って取り組むことが重要です。

万一3Cを同時に分析してしまうと、本来「勝ちパターン=自社のあるべき姿」に基づいて戦略立案すべきところを、現状の可能な範囲でのみ戦略を考えてしまいがちなので、おすすめできません。

3C分析のやり方を順序に沿って解説(市場・顧客分析→競合分析→自社分析)

3C分析は先述の通り、正しい手順・方法に沿って取り組むことで、本来の効果が発揮されます。3C分析のやり方について見ていきましょう。

1.市場・顧客分析

「市場・顧客分析」では、自身の所在する市場を明らかにすることで、あるべき顧客像を見出すことができます。

市場の明確化

3C分析では、まずは自社が「どこの市場に所属している何屋さんなのか」を明確にすることが出発点です。たとえ同じ飲食店であっても、全国規模で展開するハンバーガーチェーンと老舗の高級料亭とでは市場や顧客層が異なるでしょう。

例えば、駅前に位置する、配達・店舗内飲食どちらも可能な「ピザ屋さん」があるとします。このときピザ屋さんが所属する市場は「駅チカの飲食店」「ピザ屋」「店舗から配達可能な半径10km圏内のデリバリー店」等であると定義できます。

顧客の明確化

次に自社の商品・サービスを提供できる顧客層を明らかにします。

・ファミリー層 / 単身
・男性 / 女性
・所得はどのくらいか
・年齢層はどのくらいか

等の要素をセグメンテーション(不特定多数の顧客を様々な切り口で分類すること)し、そのうち最も優先すべき顧客像(=ターゲット)を決めます。

「ピザ屋」の例であれば「店舗から半径3km圏内のファミリー層をメインターゲットにしよう」といった具合です。

2.競合分析

ターゲットが明確になったところで、競合分析へと移行します。まずは競合となる企業の洗い出しをおこないます。

「ピザ屋」の主要ターゲットである「店舗から半径3km圏内のファミリー層」が利用するであろう、競合他社はどこでしょうか。

・最寄り駅が同じ、美味しいピザで有名なイタリアンレストラン
・配達圏内が重複する、大手ピザチェーン店
・最寄り駅が同じで、ファミリー利用の多い回転寿司店

など切り口を変えることで、異なる観点から競合店舗の選定が可能となります。

競合の選定ができたら、次に各社の強み・弱みを洗い出していきます。「競合A社は ”この要素に強みをもつため” 市場で生き残れている」であったり、競合の売上やビジネスモデルであったりを明らかにすることで、自社が所属する市場の勝ちパターンを見つけます。勝ちパターンは「この価格帯で、誰に向けて、こういった利便性を提供すれば勝てる」といったところまで明確にしましょう。

この「勝ちパターン=自社の理想的な姿」を導く工程が、3C分析において最も重要といっても過言ではありません。

3.自社分析

自社分析では、これまでの「市場・顧客」「競合」分析内容をもとに自社の経営戦略を検討します。

市場や顧客の変化、それに対する競合他社の対応や現状を自社と比較しながら分析を進めます。自社サービスの現状を明らかにする上で有効なフレームワークに「SWOT分析」という手法があります。SWOT分析では自社のStrength(強み)、Weakness(弱み)、そして市場における Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4要素を理解することが可能です。

このSWOT分析で洗い出した要素を掛け合わせ、実際におこなうべき戦略を導き出す手法を「クロスSWOT分析」といいます。

例えば「強み×チャンス」であれば自社の強みを活かしてチャンスを最大化する戦略を、「脅威×弱み」であれば自社の弱みを改善することで脅威に対処する戦略を考える、といった具合です。

自社分析では、2で明らかにした「勝ちパターン=自社の理想的な姿」と、自社分析でわかった現状との乖離を出し、その差分を埋めて社内で実現可能にするにはどういった方法が考えられるかを具体的に検討していきます。

まとめ

今回は3C分析の正しい順番・やり方をテーマに、事例を用いて解説いたしました。競合にない自社の強みを生かし、非常感や顧客ニーズに基づいた商品サービスを提供する働きかけが、企業が成長するうえで必要不可欠です。

マーケティングの基礎的なフレームワークである3C分析に、まずは気軽に着手してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

「CX Value Lab」では「3C分析」をはじめ、お客様の現状に合ったマーケティング戦略の提案・実践をサポートさせて頂きます。

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