コラム

経験価値マーケティングが学べる5つの企業事例を紹介

2022.01.31

「経験価値マーケティング」という手法をご存知でしょうか?「顧客体験」が重要視される昨今、経験価値マーケティングを取り入れた、店舗づくり・サービス展開に力を入れる企業が増えてきています。

この記事では実際に経験価値マーケティングを戦略的に実践している、5つの企業事例を中心に、その概要や具体的な実践方法をご紹介します。

経験価値マーケティングとは?

経験価値マーケティングとは、心地よい経験(価値)を意識的に創出・提供することで、消費者の総合的な満足度を高めるマーケティング手法です。コロンビア・ビジネススクールのバーンド・H・シュミット教授等が提唱した説で、「モノ消費」から「コト消費」へと消費スタイルが変化した昨今、効果的なマーケティング手法として多くの企業から注目を浴びています。

従来のマーケティング活動では、消費者の求めている商品・サービスを分析し、如何にそのニーズを満たすかに主眼が置かれていました。しかし単純な「モノ」ではなく「リアルな体験」に価値を見出すようになった現代消費者に対しては、購買プロセス全体での満足度や、五感に対する演出(商品パッケージや空間における高級感の創出など)にまでこだわったアプローチが注目されるようになりました。

「化粧品」部門にて経験価値マーケティングをうまく活用している企業の例に、化粧品通販の「オルビス」があります。オルビスが2020年7月に東京・表参道へオープンした「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」では、AIを用いた肌状態のシミュレーションが受けられたり、実際にクレンジングや洗顔料を試しながらプロに洗い方のコツを学べたりといった「体験」を通じて、オルビス商品に親しむことが可能です。

経験価値マーケティングでは、このように購買の「結果」だけでなく、そこに至る「経過」を含め顧客満足度の向上を図ることを重要視しています。

「経験価値マーケティング」を戦略的におこなった企業事例5選

「経験価値マーケティング」を実践する企業事例を知ることで、より手法について理解を深められるでしょう。特筆すべき5つの企業事例をご紹介します。

1.宿泊を通して無印良品の商品が体感できる施設「MUJI HOTEL」

無印良品の展開する宿泊施設「MUJI HOTEL」では、滞在を通して無印良品の商品を実際に体験できます。客室に備え付けのスリッパやパジャマ、マットレスなどのうち気になった商品は、ホテルに併設された7000品目のアイテムが並ぶ「無印良品銀座」店にて、そのまま購入して帰ることが可能。もちろん他店やネット通販からも購入できます。

銀座の一等地ながら「アンチゴージャス・アンチチープ」をコンセプトにした、無印らしさの光るシンプルな空間で、心と体をリラックスすることができます。

参考元:あらためてMUJI HOTEL GINZAをご紹介(前編 / 後編

2.自分好みのシューズを思うままにカスタマイズできる「NIKE BY YOU」

スポーツブランド「NIKE」の提供する「NIKE BY YOU」は、専用サイトから自分好みのNIKEシューズをカスタマイズし購入できるサービスです。トゥやヒール・ロゴマークなど、各部位に応じて好きなカラーや柄を選択し、世界にたった1つのオリジナルシューズを製作できます。

自分の好きなブランドで、自らがカスタマイズした靴を購入し履く」という、購買プロセス全体の体験価値に着目した、巧みなマーケティング戦略と言えるでしょう。また同社はNIKEアプリからAR機能を用いて、自分の足サイズにピッタリのシューズが見つけられる「Nike Fit」なども提供しています。

参考元:Nike By Youとは?

3.日産自動車の先進技術を体験できる「HELLO NISSAN」

日産自動車株式会社の提供する「HELLO NISSAN」は、全国7か所の日産店舗にて日産自動車の先端技術を体感できるサービスです(2022年現在)。たっぷり60分間の「ハンズオフドライブ」や「電気自動車の試乗」を通じて、先進技術のもたらすワクワクを味わうことができます。またセールスを一切おこなわない、専門知識の豊富な「ブランドクルー」が、試乗サポートやライフプランに合う自動車の提案などをおこないます。

セールス目的でない体験型店舗」というスタイルを取ることで、購入検討の初期段階の顧客にも気軽に来店してもらい、特別な体験を通じてロイヤリティを高めることに成功しています。

参考元:HELLO NISSANとは

4.オンラインで家の仕様を決められる!三菱地所ホーム「Online Style Lounge」

三菱地所ホームでは顧客体験型の会員制プラットフォーム「Online Style Lounge」の提供を、2021年11月よりトライアルで開始しています。住宅の内外装などの仕様選びを、自宅でスマートフォンやパソコンから気軽に楽しむことが可能。従来の営業と顧客が対面で複数回の打ち合わせを通して仕様を決める「注文住宅」のスタイルを一新し、より顧客負担を軽減したスムーズな家づくりを目指して展開されました。

「顧客自身が楽しみながら、主体的に家づくりを進められる」といった、経験価値に着眼点をおいたサービスと言えるでしょう。

参考元:三菱地所ホーム、オンラインでの仕様選びを中心とした家づくりプラットフォーム「Online Style Lounge」のトライアルを開始へ

5.常に最高の顧客経験にこだわり続ける「スターバックス」の取り組み

常に最高水準の顧客経験の提供にこだわってきた「スターバックス コーヒー ジャパン」。全国に展開される1,685店舗(2022年時点)は、すべて各店舗のオーナーがその土地ごとの顧客ニーズや出店背景を基に、一から店舗デザインや内装・家具などを決定します。店舗ごとにコンセプトや個性が異なるため、全店舗で違う空間体験が得られるのが同社の特徴です。

また居心地の良い「空間づくり」だけでなく、スターバックスでは「会員限定」のサービスを手厚くすることで、顧客の経験価値を高めることに成功しています。

スターバックスの会員限定サービスの一例

・スターバックス リワード:購入額54円につき「Star」が1つ集まり、Starを一定数貯めると「Reward eTicket」と交換できる。eTicketは上限700円(税抜)で、好きなドリンクやフードメニューと交換が可能(ポイントでなく ”star” という表現に特別感がある)。

・マイコーヒーパスポート:コーヒー豆を購入すると、翌日に豆のパッケージをイメージしたスタンプがアプリ内に表示される。スタンプの下にはメモが残せる仕様になっており、味の感想や美味しかった豆の挽き方などを、顧客それぞれが書き込むことができる。

・マイストアパスポート:来店翌日に利用店舗のオリジナル画像とメッセージが、アプリ内に表示される機能。「御朱印集め」の要領で、各地のスターバックス店巡りを楽しむことができる。

・モバイルオーダー&ペイ:アプリから自由にドリンクをカスタマイズし、事前にオーダーすることが可能。ゆっくりとカスタマイズを選べる上、スターバックスの懸念である「長い列を並ぶ負担」が軽減できる(コロナウイルスが蔓延する以前の2019年時点から実装)。

その他にも魅力的な季節限定メニューの開発や、AR機能を使った花見・クリスマスのキャンペーン等、常に顧客がワクワクするような体験を提供し続けています。

参考元:店舗でもデジタルでも考え方は同じ。スターバックス コーヒー ジャパンCMOに聞く、心を動かす体験の作り方 / CX Clip

まとめ

経験価値マーケティングを活用した、5社の事例を中心に解説いたしました。気になる企業事例はありましたか?購買やサービス利用に至るすべての工程に、顧客の経験価値を高められる要素は潜んでいます。

あなたの商品・サービスを提供する際、顧客に満足度の高い経験を得てもらうために、どういった戦略が考えられるでしょうか?本記事が改めて貴社の顧客経験について、考えるきっかけになれば幸いです。

「CX Value Lab」では中小企業や個人事業主向けに、「顧客体験」の向上を図るための各種サポートを実施しています。また顧客の体験価値にフォーカスしたお役立ちコラムを多数配信していますので、是非そちらも読んでみてくださいね。

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