コラム

「潜在顧客」と「見込み顧客」の違いとは│見つけ方と最適なアプローチ手段を紹介

2022.02.04

「潜在顧客」と「見込み顧客」は、ともに将来的な優良顧客となる可能性をもったユーザーです。それぞれ最適なアプローチを正しいタイミングで仕掛けることで、自社商品やサービスへの関心を高め、購買や利用といったプロセスに導くことができます。

「潜在顧客」と「見込み顧客」について概要を説明した後、それぞれに効果的なアプローチ方法をご紹介します。

潜在顧客・見込み顧客・顕在顧客の違いとは

自社商品やサービスの利用・購入を検討している層を「顧客」といいます。顧客はその状態に応じて

・顕在(けんざい)顧客
・潜在(せんざい)顧客
・見込み顧客

の3種類に分類されます。

顕在顧客

すでに自社商品やサービスに対してしっかりと認知があり、近い将来のうちに利用や購入を検討している層。こちらからアプローチを仕掛けなくても、顧客自ら問い合わせや購買に繋がるアクションを起こします。

潜在顧客

まだ自社商品やサービスについて認知していない層を指します。「存在を知らない」だけなので、商品やサービスの内容を知ることで、自分にとっての必要性を感じ「見込み顧客」へと転じる可能性があります。

また潜在顧客の中には「現時点では、自身にニーズがあると気づいていない(必要性を感じていない)」という層も少なくありません。その場合、こちらから興味の湧くようなコンテンツを提案することで、自身のニーズを認知してもらう必要があります。

【潜在顧客の例】
女性にモテないことが悩みの男子大学生のAさん。街を歩いていたところ「2か月で理想のたくましい体系に!女性にも自信をもってアプローチできる」と謳った、トレーニングジムのポップを目にします。

これまでジムや筋トレに全く関心のなかったAさんですが、ポップをきっかけに「(筋肉質のたくましい身体になれば、自分も自信をもって女性にアプローチできるようになるかも……!)」と考えるように。さっそく自宅に帰り、最寄りのトレーニングジムについて情報収集を始めることにしました。

見込み顧客

すでに自社商品やサービスについて認知しており、将来的に商品やサービスの利用・購入に至る可能性がある層を「見込み顧客」といいます。「興味を持っている」「実際に店舗へ足を運んだり、資料をダウンロードしている」「他社サービスと比較検討をしている」など、見込み顧客の中でも熱量や段階の違いがみられます。

企業は見込み顧客のフェーズにあわせ、必要な情報・コンテンツを提供することで、優良顧客への成長を促すことが重要です。

中小企業の戦略では潜在顧客・見込み顧客の育成が重要

継続的な売上を図るためには、顕在化した顧客へのアプローチにとどまらず、中長期を見据えた「潜在顧客の発掘」「見込み顧客の育成」への取り組みが重要です。理由としては昨今のデジタル化に伴う購買プロセスの多様化、そして営業人材の最適化を図るべきという主に2つの要素が挙げられます。

購買プロセスの多様化

インターネットが普及した現在、商品やサービスに関して顧客自らが能動的に情報収集をおこなうことは当たり前となりました。企業が顧客に対面で接する時点で、すでに顧客側がWEB上で意思決定の大半を終えている場合も少なくありません。

そのため複数企業の中から顧客に選ばれるためには、ニーズがまだ顕在化していない「潜在顧客」の段階から、早期にアプローチを仕掛け興味関心を持ってもらうことが重要です。

また自社に興味を持っている「見込み顧客」であっても、定期的な接触がなければ競合に奪われてしまうリスクがあります。企業は発掘した見込み顧客に対して、継続的なアプローチをおこなうことで信頼関係を構築することが求められます。

見込み顧客を購買段階まで育成することを、「リードナーチャリング」と言います。

営業人材の最適化

見込み顧客や潜在顧客の育成は、営業マンの効率化を図る上でも重要です。「テレアポ」や「飛び込み」といった闇雲に接触を図る営業手法は、顧客が能動的に情報収集をおこなう現代の市場で、あまり効果的とは言えないでしょう。また貴重なファーストコンタクトに良い印象を与えづらいため、将来見込み顧客になる可能性を自ら手放しているリスクも考えられます。

営業マンの能力を最大化するためには、分析に基づいて「見込み顧客になる可能性をもった層(潜在顧客)」にターゲットを絞り、最適なタイミングで接触を図ることが大切です。このように営業リソースの最適化を図るためには、社内のマーケティング部門と営業部門とのスムーズな連携や、相互がうまく連携しあうシステム・体制づくりが求められます。

潜在顧客の見つけ方

先述の通り、まだ自社への認知が薄い「潜在顧客」層に適切な接触を図ることで、購買の可能性がある見込み顧客へと導くことが可能です。

潜在顧客を発掘し育成するためには、まず見込み顧客になる可能性をもつ「ターゲット層」を明らかにする必要があります。以下で手順を見ていきましょう。

1.STP分析をおこなう

STP分析とは、市場における自社の立ち位置やターゲット層を明らかにする上で有効な、マーケティング戦略のフレームワークです。以下の3段階の分析を通じ、自社が市場においてどの立場からビジネスを展開するかを明確にします。

Segmentation:セグメンテーション(市場の細分化)

Targeting:ターゲティング(狙う市場の決定)

Positioning:ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)

STP分析をおこなうことで、これからアプローチを仕掛けるターゲット(潜在顧客)層を明らかにし、自社の強み・ポジショニングを整理することが可能です。

2.ペルソナを設定する

STP分析の結果や過去の自社顧客の傾向に基づき、ペルソナを設定します。ペルソナとは、基本属性や年収・ライフスタイルなどを詳細に設定した、自社の理想的な顧客像を表す指標です。

ペルソナの例
(例:40歳女性 / パート勤務  / 4人家族(夫・長男・次男)  / 郊外の3LDKマンションに家族で住んでいる  / 年収100万円前後(扶養内)  / 週3回ヨガ・ピラティスに通う)

性別や年齢、住所といった一般的な属性だけではなく、家族構成や趣味嗜好・休日の過ごし方などまで詳しく定義しましょう。

【おすすめ記事】ペルソナ設定のすすめ – 商品・サービスが響く顧客像が明確化

3.カスタマージャーニーマップを作成する

作成した顧客像(ペルソナ)が、実際に商品やサービスの利用にいたるまでの、行動や思考回路を可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」といいます。

カスタマージャーニーマップを作成することで、企業側は顧客の消費行動を把握し、最適なタイミングで必要な施策を打てるようになります。

【おすすめ記事】カスタマージャーニーとは?企業が取り組むべき目的・作り方や、自社事例をわかりやすく解説

カスタマージャーニーマップの作成で明らかになった「自社顧客の購買プロセス」を基に、潜在顧客層・見込み顧客それぞれに対し、段階ごとの戦略を立てることが可能です。有効な施策としてどういったものがあるか、以下で見ていきましょう。

潜在顧客へのアプローチ方法

分析を通して潜在顧客の層が明らかになったら、ターゲットに響くアプローチを仕掛けていきます。

オウンドメディア運営

オウンドメディアとは自社が消費者へ情報発信するメディアの総称であり、一般的には企業が運営するWEBサイトやブログなどを指すことが多いです。ネット検索やSNSからオウンドメディアへ訪れたユーザーに、価値のあるコンテンツを発信することで、潜在顧客から見込み顧客への転換を促します。

【オウンドメディアのコンテンツ例】
・リフォーム工事専門店…間取り別のオシャレな部屋のコーディネート事例 / 失敗しないリフォームの依頼方法 / 癒し空間におすすめな北欧家具の紹介 など

消費者の心を動かす優良なコンテンツを作成するには、ターゲット層の明確化や、コンテンツを持続的に発信するための社内体制づくりが重要となります。

インターネット広告

インタ―ネット広告は潜在顧客へのアプローチに非常に有効な手段です。ユーザーの検索キーワードに基づいて表示される「リスティング広告」や、ウェブページの広告枠に表示される「ディスプレイ広告」、InstagramrやFacebookのタイムラインに表示される「SNS広告」など、掲載する媒体や表示システムに応じて様々な種類があります。

とりわけSNS広告では広告を表示させるオーディエンスを細かく設定できるため、「まだ商品サービスを認知していないけれど、興味関心を持ちそう」な潜在顧客層を、ピンポイントに狙うことが可能です。

セミナー・イベント開催

対外的なセミナー・イベントの開催は、初見ユーザーとの接触機会をもつ上で有効な手段です。規模にもよりますが一度に多くの参加者へ認知を広げ、見込み顧客へと育てるきっかけを掴むことが可能です。

ただし「無料セミナー」など参加ハードルの低いイベントは、集客数が確保できる分、熱感が冷めやすく離脱が激しいといった特徴もあります。セミナー・イベント後は速やかに参加者のリスト化をおこない、適切なアプローチを仕掛けていく必要があります。

見込み顧客のアプローチ方法

見込み顧客を購買・利用する段階まで育てていくには、上記で紹介した3つの手法に加え、より顧客それぞれの消費行動にあわせた施策をおこなうことが求められます。

メールマーケティング

見込み顧客の育成に最適な手段が「メールマーケティング」です。

【主なメールマーケティング手法】

・メ―ルマガジン
・ターゲティングメール
・ステップメール など

ユーザーの属性(男女、年齢、地域など)や、熱量・購買プロセスにあわせて内容を送り分けることで、顧客それぞれに響くメッセージの配信が可能です。

またメールマーケティングは現在アクティブなユーザーだけでなく、以前接触があったものの離脱してしまった過去の見込み顧客(休眠顧客)へのアプローチとしても最適です。

【おすすめ記事】メールマーケティングで主要な6種類の方法を徹底解説

リターゲティング広告

先ほど紹介した「WEB広告」の中でも、見込み顧客向けに有効な施策が「リターゲティング広告」です。リターゲティング広告とは、過去に自社サイトへ訪問歴のあるユーザーを対象に、自社商品やサービスの広告を表示し再訪を促す手法です。

すでに自社の商品やサービスへ認知・興味がある可能性が高いため、初見のユーザーに比べ高い確率でCV(問い合わせや商品の申し込み等)を獲得できるのが特徴です。

また広告の内容も「顧客が閲覧した商品の画像を入れる」「購入履歴のある方向けに、リピーター限定特典等の文字を入れる」など、顧客の行動に応じて表示を細かく出しわけることが可能です。

まとめ

「潜在顧客」と「見込み顧客」との違いや、それぞれのアプローチ方法についてお話ししました。

潜在顧客…ユーザー自身が気づいていないニーズに対し、課題解決の手段や興味の湧くコンテンツを提供することで、自社商品・サービスを認知してもらう。見込み顧客へと育てる。

見込み顧客顧客のフェーズに応じて適切なコンテンツを届けることで、自社商材の購買・利用への熱量を高める。

顧客と信頼関係づくりを大切にし、中長期的な視野を持って、潜在顧客・見込み顧客への戦略を考えましょう。「見込み顧客の育成」については、以下の記事もおすすめです。

【おすすめ記事】見込み顧客を自社で育てる!購買意欲を高めるナーチャリングのコツ

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