2022.04.25
「お客様視点(顧客視点)」は、自社が顧客に選ばれ続ける上で欠かせない重要な概念の1つです。お客様の目線に立ち独りよがりでない戦略を立案することで、競合に負けない企業の基盤を築くことが可能です。
ただし「お客様視点」の捉え方を誤ると、企業にとってマイナスな結果を生むリアルなニーズとズレのある施策を打ってしまう結果にもなりかねません。
この記事では「お客様視点について改めて確認したい」「顧客視点にたった事業立案をおこないたい」といったユーザーに向けて、以下の内容について解説いたします。
✓ お客様視点とは
✓ お客様視点の注意点
✓ お客様視点はなぜ重要なのか
✓ お客様視点を取り入れる方法
「お客様視点(顧客視点)に立つ」とは、自社の商品やサービスが継続的に利用されるためにどうあるべきかを、実際に使用する顧客の視点から検討するという考え方です。
商品の開発をはじめ営業・カスタマーサクセスなど顧客に関わるすべての組織体制は、お客様の視点から改善することで真のベネフィットを提供することに繋がります。また顧客視点から物事を検討することで、自社では気づけない新たな提供価値や自社の強みに気づくこともあります。
頻繫に目にする課題として「お客様視点とお客様の声を混同してはいけない」というものがあります。皆さんは両者の違いを厳密に理解されているでしょうか。
お客様の声とは、アンケート調査やインタビューで集めたお客様の自社商品・サービスに関する意見や評価を指します。
例えば、ネット通販でとある商品を購入した際「今後、自社でどのような商品が発売されると嬉しいですか?」というようなアンケート回答を、メールやはがきで求められた経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。
このような「お客様の声」を集めることは決して悪くはありませんが、鵜呑みにしすぎると的外れや戦略や商品開発をおこなってしまうリスクを備えています。
有名な例に、マクドナルドが2006年5月に販売したメニュー「サラダマック」があります。
サラダマックとはその名の通り、たっぷりの野菜やフルーツを用いた計5種類のメニューで、ジャンクな印象が強いマクドナルドの新しい試みとして、当時大きな話題となりました。
参考:新メニュー『サラダマック』 5月13日(土)より発売開始
この「サラダマック」は、ユーザーの「ヘルシーで健康的なメニューが食べたい」という声から誕生したと言われていますが、実際に発売を開始すると売れ行きはまったく伸びず、ほどなくして販売終了となってしまいます。
顧客の声をもとに開発されたのに、なぜまったく売れなかったのか。それは、お客様が口にする要望(お客様の声)と、顧客視点でみる真のニーズは、必ずしも同一ではないことが大きな理由です。
「お客様の声」はあくまで顧客の理想論や何となくのアイデアであることもしばしばであり、実際にユーザーが「マクドナルドに来店した際、どういう思考や行動になるか」までを掘り下げて考えているわけではありません。
今回の場合、多くのユーザーにとって真のニーズは「マクドナルドでは、日常で味わえないジャンクな食べ物・背徳感を楽しみたい」というものでした。顧客の大半はヘルシーな食べ物を求める際、あえてマクドナルドに来店しようとは思わないのです。
結果としてマクドナルドは、サラダマックの発売以降「メガマック」や「侍マック」といったジャンクな商品を販売し、大ヒットを収めるといった結果に至りました。
上記の例のように、お客様から得た意見や評価は表面的であることも多く、実際のニーズと乖離しているケースも少なくありません。
真に顧客のニーズをキャッチするためには、リアルな現場で顧客が実際はどのような行動をとるのか、どういった思考になるのかを検討・観察することが必要です。
お客様視点が重要な理由は、あらかじめ消費者を想定した商品やサービスの開発・組織作りをおこなうことで、企業の独りよがりでない顧客に求められるビジネス展開が可能となることにあります。
概念そのものはずっと以前から存在していたものの、昨今になり「顧客視点」に基づいた戦略開発は、企業にとって必須の要件となりました。
その背景には世の中に溢れる膨大な数の商品やサービス、そしてそれに伴い消費者の選択肢が大きく拡大したことが挙げられるでしょう。集客の段階をはじめ実際のプロダクトやサービス・その後のアフターフォローに至るまで、顧客視点を基にした他社との差別化がなければ、あえて自社を選んでもらうことが難しい時代になっているのです。
また時代の流れにあわせてユーザーの思考は絶えず変化するため、企業は常に顧客の視点に立ち続けながら、最新の顧客ニーズを拾うことに敏感でなければなりません。
顧客視点に立った戦略づくりは、激しい競争の中で自社が消費者に選択され続けるために、避けては通れない要素と言えるでしょう。
ここまで「顧客視点」に関する概要をまとめましたが、実際に自社の戦略へお客様の視点を取り入れるためには、どうすれば良いでしょうか。
手軽に取り組める、おすすめの方法についてご紹介します。
顧客視点に立ち自社のサービスやプロダクトを見直す際、おすすめのフレームワークが「カスタマージャーニーマップ」を作成することです。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が特定の商品・サービスを認知してから、実際の購入にいたるまでのプロセスを視覚化できるよう、1つの表にまとめたものを指します。各フェーズ毎に顧客に発生するであろう感情や行動・不満などを、時系列に沿って書き出します。
このカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の視点から自社の現状(商品やサービス・組織図など)を見直すことが可能となり、企業本位でない戦略の立案が可能となります。
【実際にカスタマージャーニーの作成に取り組んだ、クライアント様の声】
カスタマージャーニーを作成することで「こうやっても無駄だよね」という固定概念から、自分の思考を解き放てた感じです。
あそこまで時間をかけて、お客さまの行動を細かく段階を追って行ったのは初めてでした。あのワークが、お客様を理解する一番基本の土台になったなと思います。
事例元:薄い点が濃い点に細い糸が紡がれて太いロープに。 CX Value Labさんにお願いしていなければ今でもマーケティングにおいて迷走状態だったと思います。
カスタマージャーニーに関しては、以下の記事にも詳しくまとめています。
【おすすめ記事】カスタマージャーニーとは?企業が取り組むべき目的・作り方や、自社事例をわかりやすく解説
以前に執筆した「企業の強みの見つけ方」でも紹介した方法ですが、顧客の視点から自社商品やサービスの強み・弱みを発見するには、既存のお客様に「なぜ○○したのか?」をヒアリングする方法が有効です。
例として、以下のような質問があげられます。
・なぜ(他の競合商品ではなく)自社の○○という商品を購入されたんですか?
・なぜ(他店ではなく)うちの店をよく利用してくださるんですか?
・なぜ、今回A商品とあわせてB商品も購入していただけたんですか?
・なぜ、うちのサービスを解約して、他社へ乗り換えられるんですか?
この質問の良いところは、お客様の実際におこしたアクションに着目して、その行動心理をヒアリングしている点です。お客様の「想像上の言葉」ではないため、よりリアルに近い顧客のニーズや考えを拾うことができます。
手軽に取り組みやすい方法でもあるため、ぜひ実践として検討していただきたい手法の1つとなります。
今回は「お客様視点(顧客視点)」にフォーカスをあてて、その概要や重要性・顧客視点分析に関するフレームワークなどについてお話ししました。
自社の商品やサービスを固定概念にとらわれることなく顧客の視点から分析することは、案外簡単なことではありません。社内の常識が、お客様のニーズと大きくかけ離れていることもしばしばです。
経営層はもちろん社員1人1人が、顧客視点にたった商品やサービスの提供に努める意識が、これからも選ばれ続ける企業であるために重要でしょう。本記事をきっかけに、皆さんの顧客視点に関する意識が少しでも変わりましたら幸いです。
CX Value Labでは、今回ご紹介した「カスタマージャーニー」のワークショップをはじめ、顧客視点に基づいたマーケティング戦略のお手伝いを積極的におこなっております。
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