コラム

リピーターを増やすために店舗が取り組むべき5つの方法とは?固定客の重要性も解説

2022.07.12

「新規のお客様はそこそこ集客できているが、再来店率が低くて悩んでいる」
「リピーターの重要性は理解しているが、具体的に何をすべきかわからない」

今回はそういった方に向けて、飲食店や美容室・アパレルショップといった店舗のリピート率を増やすための方法、あるいはリピーター獲得の重要性について解説いたします。

「既存顧客へのアプローチを強化していきたい」「長期的に収益をあげるための仕組みづくりに取り組みたい」という方は、ぜひご一読ください。

リピーター(固定客)獲得が、新規獲得と同じくらい重要な理由

飲食店や美容室にとって顧客の「リピート率」をあげることは、新規顧客の獲得に注力するのと同等、もしくはそれ以上に重要です。

リピーターの獲得に力を入れるべき理由としては、以下のような要素が挙げられます。

新規顧客の獲得難易度が年々高まっているため
・既存顧客の方が、新規より低コストで集客できるため
初回来店のみでは利益を回収できないため(LTVの考え方)

続々とオープンする新店舗やネット情報の氾濫により、顧客の選択肢そのものが増えている昨今。新規のお客様を獲得する難易度やコストは、ますます高まっています。

例えば広告で集客を行う場合も、競合店舗の乱立により 「① 広告の掲載費そのものが高くなっている」「② ライバルが多く、広告からの流入が取りづらくなっている」といった懸念が見られます。

こういった新規獲得が難しい市場だからこそ重要となるのが、新規顧客の開拓と並行して、リピーターを増やすための取り組みに注力することです。

既存顧客の獲得コストは、新規顧客の5分の1

新規獲得の獲得コストがあがっている現在の市場では、初回利用のみだと経費の回収ができず、赤字になってしまうケースも少なくありません。

そういった背景からも、既存のお客様を再来店にうながしリピーターとして定着してもらうための働きかけは、企業が継続的に売上を伸ばす上で必要不可欠です。

実際、新規顧客を獲得するためのコストは、既存顧客(リピーター)にかかるコストの約5倍必要という風に言われており、これを「1:5の法則」といいます。

既存顧客は新規に比べ再来店に誘導しやすく、かつロイヤルティが高い分、1回あたりの単価が上げやすいといった特徴があります。

一方の新規顧客は、スタートから購入までに費やすコストが高く、1回あたりに購入する金額も低いため、1度の利用では十分な利益が回収できない可能性があります。

このように初回利用だけでなく顧客が複数回リピートすることで、長い期間をかけて利益を回収しようという考え方を「LTV(ライフタイムバリュー)」といいます。店舗が安定して売上を伸ばしていくためには、LTVの観点から、お客様と長期の視点で良好な関係を築くことが重要です。

新規の開拓ばかりに力を注いでいる

・とくに「2回目」の再来店率が低い
・月ごとに売上の波が大きい(季節柄関係なく)

そんな傾向や悩みを抱えている店舗・オーナー様は、顧客の再来店向上のため、まずは初回来店のお客様に対する現状の分析・課題の洗い出しから始めていただくのが良いでしょう。

なぜリピーターに繋がらない?3つの理由

「リピーターを増やしたい思いはあるものの、なぜ失客しているのが原因がわからない」という経営者やオーナー様も少なくないのではないでしょうか。

顧客がリピーターに繋がらない理由として、以下のような要素が考えられます。

1.単純に商品やサービスに魅力がなかった。
2.ユーザーから存在を忘れられている。
3.再来店のきっかけがない。

1.単純に商品やサービスに魅力がなかった。

シンプルですが、商品やサービスそのものに魅力がなければ、どれだけ集客施策をおこなってもリピーターを増やすことは困難です。

例えば、新規オープンした美容室が熱心にプロモーション活動をおこなったとしても、美容師の技術が不足していたり、接客態度が悪かったり、メニューの料金がサービス内容に見合っていなければ、リピーターに繋げることは難しいでしょう。

リピート率が低い場合は、まず大前提として商品・サービス内容そのものが顧客にとって魅力的かどうか(競合商品に比べ秀でているか)を見直してみるのがおすすめです。

2.ユーザーから存在を忘れられている。

2つ目の理由は、サービス内容は悪くなかったものの、顧客の記憶に残っていないためリピートに繋がらないというものです。

常に新たな情報やサービスが更新されていく現在の市場の中、「また訪れたい店舗・サ―ビス」としてユーザーの記憶に留まり続けることは容易ではありません。

「顧客の記憶に残る店舗」であるためには、来店時の対応やサービス内容ももちろん大切ですが、メールやSNSを通じたDMやはがきといった「日常のコミュニケーション」が大きな鍵を握ります。

3.再来店のきっかけがない。

リピーターに繋がらない理由3つ目は、店舗やサービス内容自体は良かったものの「顧客にとってわざわざ再来店するきっかけがない」というものです。

顧客が店舗やサービスのことを思い出し、再び足を運ぶハードルは、店舗側が思っている以上に高いことを忘れてはいけません。

例えば、あなたが何かの用事帰りにたまたま立ち寄った、自宅から電車で30分の距離にあるとても美味しいケーキ屋さんがあるとします。仮に「またそのうち行きたいな」とそのとき思ったとしても、家から徒歩30分のケーキ屋に、何のきっかけもなく足を運ぶことはそうそうないのではないでしょうか。

しかし「ケーキを3つ以上購入で30%オフのイベント」や「誕生日月の来店で、おまけに焼き菓子を1つプレゼント」など、思わず再来店したくなるような「きっかけ」があれば、少し時間をかけてでも足を運びたくなるなるかもしれません。

このように顧客が「また来たくなる」きっかけを店舗側が意識的に提供することで、顧客の心理的なハードルを下げ再来店を促すことができます。

リアル店舗ができるリピーターを増やすための施策

リピーターを獲得するために「よい商品」「よい接客サービス」を提供することはもちろん重要ですが、それだけでは安定的に再来店を促すことはできません。

既存顧客のリピート率を高めるために、ぜひ実践して欲しい5つの施策についてご紹介します。

1.顧客との定期的な接触をはかる
2.顧客一人ひとりにあわせたサービスを提供する

3.イベント・セール開催など飽きさせない工夫をする

4.ポイントカードなど、再来店したくなる仕組みをつくる

5.来店時以外のフォローもおこなう

1.顧客との定期的な接触をはかる

1つ目の施策は、顧客との定期的なコミュニケーションを図ることです。顧客との接触をはかるべき理由として

・顧客の記憶に長くとどまるため
・接触を増やすことで愛着心や信頼感を抱いてもらうため

の2点があげられます。

例えば、あなたが「会社の飲み会用にお店を見繕う」となった場合、ふと頭に思い浮かぶ店舗はいくつあるでしょうか。恐らく多くても4~5件ほどではないかと思います。

ユーザーにリピートを検討してもらうためには、常にこの4~5件の候補にあがる必要がありますが、1度の来店で記憶に留まり続けることは難しいでしょう。顧客と小まめな接触をはかっておくことで、顧客の記憶に定着し、自然と再来店に繋がるといった効果が期待できます。

また単純に接触回数を増やすことで、顧客としても店舗との心理的な距離感が縮まり、リピーターへ繋がりやすくなるといったメリットもあります。

コミュニケーションの手法としては、公式LINEやメルマガ・SNSといったツールを用いると良いでしょう。

2.顧客一人ひとりにあわせたサービスを提供する

2つ目の施策は、顧客それぞれのペルソナや趣向にそったサービスを提供することです。「不特定多数ではなく、あなただけに向けたサービスであること」を顧客に伝えることで、ロイヤルティを高め、リピーター増加を目指すことが可能です。

顧客一人ひとりにあわせたサービスを提供する上で、欠かせないのが「顧客管理」をおこなうことです。

・顧客の情報(性別・年齢・誕生日・家族構成など)
・利用目的
・利用したサービス内容/ 単価 / 日時など
・利用時の印象や感想など

を記録しておくことで、その内容に基づいたメッセージをメルマガで発信したり、再来店時に趣向に合ったサービスの提案がおこなえたりといったメリットがあります。

例えばアパレルショップであれば、前回店舗で購入したブランドの新商品のアナウンスを送る、美容室であればちょうど次回カットの1週間程前タイミングで「そろそろカットされませんか?」と近況伺いのLINEをおくる、飲食店であれば誕生日月に使える「ドリンク1杯無料」のクーポンを発行する、といった具合です。

3.イベント・セール開催など飽きさせない工夫をする

3つ目の施策は、顧客が思わず足を運びたくなるような「飽きさせない」ためのイベント施策をおこなうことです。

実際、何十年も国民に愛され続けているテーマパーク「ディズニーランド」では、定期的にアトラクションを追加したり、ショーの内容を変えてみたり、シーズンごとにイベントを開催したりと、常に顧客を飽きさせないための工夫をおこなっています。

同様に店舗やサービスも、常に同じ商品やサービスを提供し続けるだけでは、新規に参入した目新しい他社へ乗り換えられてしまうリスクがあります。

商品の改良はもちろんですが、それをしっかり顧客へ認知させるための告知や、魅力的に感じるためのPRをおこなうことが大切です。

飲食店でおこなえるイベントの例としては

季節のイベント(クリスマスやバレンタインなど)にあった企画をおこなう
シーズンにあった限定メニューを販売する
他店舗とのコラボメニューや企画をおこなう
SNSの投稿・タグ付けで割引になる特典をつける
・「30代限定」「学生限定」など、ペルソナ別のイベントを開催する

・新メニューの無料試食・試飲会をおこなう

などがあげられます。

4.ポイントカードなど、再来店したくなる仕組みをつくる

4つ目の施策は、ポイントカードを発行するなど、つい何度も通いたくなるような仕組みづくりをおこなうことです。

「複数回通った方がお得だ」
「せっかくなら、先日利用したA店を利用しよう」

そんな顧客心理をくすぐる施策を打つことで、顧客のリピート率を高め定着をはかります。

仕組みづくりのよくある例としては

・ポイントカードを発行し、来店数や金額に応じて割引や特典をプレゼントする
・来店数や利用金額に応じて「顧客ランク」が変動し、ランクがあがるごとに様々なボーナスや特典がもらえる。

などがあげられます。

例えば、常に高い水準で高品質なサービス提供をおこなう「スターバックス コーヒー ジャパン」では、「また行きたい」を促すための施策として、会員向けに以下のような取り組みをおこなっています。

スターバックスの会員限定サービスの一例

スターバックス リワード:購入額54円につき「Star」が1つ集まり、Starを一定数貯めると「Reward eTicket」と交換できる。eTicketは上限700円(税抜)で、好きなドリンクやフードメニューと交換が可能。

マイストアパスポート:来店翌日に利用店舗のオリジナル画像とメッセージが、アプリ内に表示される機能。「御朱印集め」の要領で、各地のスターバックス店巡りを楽しむことができる。

マイコーヒーパスポート:コーヒー豆を購入すると、翌日に豆のパッケージをイメージしたスタンプがアプリ内に表示される。スタンプの下にはメモが残せる仕様になっており、味の感想や美味しかった豆の挽き方などを、顧客それぞれが書き込むことができる。

自店の強みを活かしながら、ユーザーが「つい足を運びたくなる店舗・サービス」を実現する取り組みが重要といえます。

5.来店時以外のフォローもおこなう

5つ目の施策は来店しているとき以外の時間も含め、顧客が満足するようなサービスを提供することです。

「また行きたい」と思ってもらう上で店舗で過ごす時間が重要なのはもちろんですが、「どれだけスムーズに来店できたか」「利用後のフォローが手厚かったか」など、来店前後の満足度もリピーターに繋がるかを左右する重要な要素だからです。

【来店時以外のフォローの例】

・駅から店舗までの道順をわかりやすく提示する。
予約が取りやすいシステムを導入する
・(美容室であれば)自宅でセルフケアをする際の方法まで、来店時やメールでフォローする
・(アパレル店であれば)来店後に、サイズ交換や返品可のアナウンスを送る

・(飲食店であれば)ユーザーの趣向にあいそうな新商品や人気メニューの情報を送る

このように顧客がサービスを利用する中で得られる「すべての体験」=「顧客体験(CX)」の価値を向上することは、顧客に選ばれ続ける店舗やサービスであるためには欠かせない条件といえます。

→ CXとは?顧客体験価値の重要性・取り組み手順について事例を用いて解説

まとめ

リピーター獲得の重要性と、そのために取り組むべき施策内容についてお話ししました。参考になる内容はありましたか?

新規顧客の獲得に目が行きがちですが、企業が長期にわたり収益を上げ続けるためには、ロイヤルティの高い既存ユーザーに繰り返し利用してもらう仕組みづくりが欠かせません。

まずは新規のお客様に「どうすれば2回目の来店をしてもらえるか」に焦点をあてて、既存の施策やユーザーの購買行動などを見直すところから、始めてみてはいかがでしょうか。

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