2022.08.30
近年、多くの企業が意欲的に着手している取り組みとして「パーソナライズドマーケティング」の存在が挙げられます。
パーソナライズドマーケティングでは従来のマスマーケティングと異なり、顧客一人ひとりの個性や趣向に基づき、パーソナライズドされたサービスを提供することが可能です。
この記事では「パーソナライズドマーケティング」の概要を説明したのち、具体的な施策内容や、導入実績のある企業事例について解説します。
パーソナライズドマーケティングとは、すべての顧客に一律の施策や提案をおこなうのではなく、それぞれの趣向や属性に合わせて最適なアプローチをおこなうマーケティング手法を指します。
顧客の行動履歴や過去の購買データを活用することで、より一人ひとりに響く内容を提供することができます。
例えば、動画配信サービスの「YouTube」では、過去の視聴履歴に基づき、ユーザーそれぞれの趣向にあった動画をおすすめ作品として表示します。AIが自動で動画をピックアップしてくれるため、視聴者は自分で動画を検索する手間なく、見たい動画をスムーズに閲覧することが可能です。
このようにパーソナライズドマーケティングは、顧客にとってストレスの少ない、魅力的な価値体験を提供する上で非常に有効な手段ということができます。
パーソナライズドマーケティングが重要視されるようになった背景には、競合企業やサービスが乱立する昨今において、よりユーザーの心をひきつける魅力的な顧客体験(CX)の提供が必須課題となったことがあげられます。
顧客体験とは、一連の購買プロセス(商品の認知から購入、その後のアフターフォローまで)を通してユーザーが獲得する、すべての体験や思いのことを指します。
例えば、「ネット広告で商品の存在を知り、好きな芸能人が起用されていたので、気になって商品ページを閲覧した」「訪問したECサイトがとても使いやすく、写真も見やすかったので、スムーズに商品を購入できた」といった行動や感情は、すべて「顧客体験」に該当します。
消費者が商品やサービスを選ぶ観点は「モノ」から「コト」へと移り変わり、商品が魅力的であることに加え、優れた「顧客体験の提供」が無ければ消費者に選ばれることが難しい時代となりました。
こういった背景から、顧客一人ひとりの個性にあわせてサービスやプロモーションを出し分ける「パーソナライズドマーケティング」の手法が注目を浴びるようになりました。
ユーザーの好みや行動に合わせてカスタマイズした内容を提供することで、自ずと競合他社と差別化の図れる、質の高い顧客体験の提供を実現できるためです。
また顧客それぞれにパーソナライズドされたアプローチをしかけるため、自然と成約率が高まり、費用対効果のよい営業やマーケティング活動も可能となります。
このように顧客から長期的に愛される企業ないしサービスであり続ける上で、顧客志向を大切にしたパーソナライズドマーケティングへの取り組みは、欠かせない存在であると言うことができます。
ここまでパーソナライズドマーケティングの重要性について見てきましたが、具体的にはどういった手法として実践されているのでしょうか。
パーソナライズドマーケティングの視点が取り入れられている、5種類の施策についてご紹介します。
1つ目の施策として紹介するのが「パーソナライズド広告」です。顧客が過去に閲覧した商品ページや検索したキーワードなど、WEB上の行動履歴に基づき、AIが自動的に相性の良いインターネット広告を表示させます。
例えば、家具屋さんのサイトで「ソファ」の商品ページをいくつも閲覧した翌日、スマートフォンの画面に、繰り返し「ソファ」の商品広告が表示されるという経験はありませんか?
他にも「Yahoo! Japan(ヤフージャパン)」のトップページに表示されるネット広告では、ユーザーそれぞれの検索履歴や閲覧行動をもとに、趣向にあった広告を自動で出しわけています。
ユーザーからすれば常に興味関心に近い広告が表示される、企業側からすれば顧客のクリック率・成約率が高まるなど、パーソナライズド広告は顧客・企業の双方にとってメリットのある施策と言えるでしょう。
2つ目は「パーソナライズドされたメールを配信すること」です。顧客育成において有効な「メルマガ配信」では、以前まで全ての顧客に一律の内容を送付することが一般的でした。
しかし最近では「MAツール(マーケティングオートメーションツール)」などを活用し、顧客の基礎情報(性別や年齢・地域など)や過去の購買行動をもとに、ユーザーによってメールを配信し分ける「パーソナライズドされたメ―ル配信」が多くの企業で実践されています。
あるいは「特定のメルマガを開封したユーザー」「メール内のURLをクリックし、サイトを閲覧したユーザー」といった具合に、顧客のアクションに応じてメールを送り分けることも可能となりました。
顧客にとって関心のあるメールを適切なタイミングで送付することにより、自ずと顧客満足度を高め、メールの開封率や問い合わせ率をアップすることに繋がります。
3つ目にご紹介するのが「ECサイトに見られるレコメンド機能」です。
レコメンドとは、ユーザーが過去に購入した商品・閲覧した商品のデータに基づき、おすすめの商品を表示する機能のことを指します。例えば、パソコンを購入したユーザーのECサイト上に、マウスやパソコンの収納ケースといった関連商品がおすすめとして表示されるのはレコメンド機能の1つの例です。
実際、Amazonや楽天といったECサイトでは、顧客の購入・閲覧履歴に基づいたおすすめ商品の提案を実践しています。
レコメンド機能を搭載することで、顧客側としては
といった様々なメリットを受けることができます。
4つ目は「パーソナライズドされた検索機能」です。Googleに代表される検索機能の1つで、過去の検索履歴や現在の位置情報などをもとに、個々に合った検索結果や候補の検索キーワードを提示します。
例えば、同じ「美容院 おすすめ」というキーワードで検索したとしても、福岡で検索する場合と東京で検索する場合とでは、検索結果に表示される内容は異なります。それぞれユーザーの現在地を起点に結果を表示するため、前者であれば福岡県内の美容サロンが、後者であれば東京都内のサロンが提示されるでしょう。
5つ目は「コンテンツ配信サービスのレコメンド機能」です。
Amazon primeやNetflixといった映像配信サービス、Spotifyのような音楽配信サービス、LINEマンガのような漫画配信サービス等では、過去の閲覧・視聴履歴をもとに、おすすめ作品を表示させるレコメンド機能が搭載されています。
ユーザーは気になる作品を別途調べたり、検索をする手間なく、スムーズに好みの作品を選択することができます。
企業側としても顧客にストレスの無い体験を提供することで、顧客満足度を高め長期的な利用を促せるといったメリットがあります。
顧客それぞれのニーズにあったマーケティング活動をおこなうことで、競合他社と差別化をはかり、顧客満足度の高いサービス提供を実現している企業が増えてきています。
実際に「パーソナライズドマーケティング」を導入している、企業・サービスの事例についてご紹介します。
引用元:さとふる
ふるさと納税サービスとして有名な「さとふる」では、パーソナライズドされた顧客ファーストなWEBサイト作りに取り組んでいます。
サイトのトップページでは、顧客を「初回訪問者」「非会員」「寄付実績のある会員」「寄付実績のない会員」の4パターンに分類し、それぞれで表示するバナー内容を変更する仕様に、
といったパーソナライズド施策により、顧客の会員登録やふるさと納税の申し込みを促進しました。
結果として施策導入後からわずか2週間後ほどで、該当バナーのCVRは2.07倍へと向上。ユーザー一人ひとりにあった仕組みづくりをおこなうことで、成果を生み出すことに成功した事例です。
参考:ブレインパッド、ふるさと納税サイト「さとふる」のデジタルマーケティング基盤を「Rtoaster」で構築
パーソナライズに特化したブランド商品の企画・販売に強みを持つ「株式会社Sparty」。美容カテゴリからヘルスケアの領域において、一人ひとりの個性や悩みに寄り添ったプロダクトを開発しています。
例えば、Spartyの主力サービスである「MEDULLA(メデュラ)」では、スマホで簡単に取り組める髪質診断の結果をもとに、5万通りの組み合わせの中から、自分に合ったシャンプーやトリートメントを購入することができます。
また、シャンプーやトリートメントをカスタマイズした後も「定期カウンセリング機能」を利用することで、髪質の変化にともなった適切なヘアケアの提案を受けることも可能です。
ユーザー個々の特性に寄り添ったサービスを提供することで、高い顧客体験を実現しているサービスです。
参考:Sparty, Inc
株式会社DINOS CORPORATION(ディノスコーポレーション)が、2018年よりスタートし多くの注目を集めたのが、顧客の購買データごとに異なる小冊子を作成する「Like it!」というサービスです。
オンラインショップでの顧客の購入データに基づき、Instagramから抽出した旬のコーディネート情報や、購入商品と組み合わせて着こなせる同社商品の情報を、1冊の小冊子にまとめて提供してくれます。
内容としては、1冊に3パターンのスタイリングと関連する商品をそれぞれ4点、合計12点の商品を掲載。各商品は誌面に記載したQRコードから、通販サイトの販売ページに遷移し、そのまま購入することが可能です。
顧客それぞれをパーソナライズすることで、最適なコーディネート案や商品情報を適切なタイミングで通知し、魅力的な顧客体験を提供した企業事例です。
参考:ディノス・セシール、パーソナライズド小冊子『Like it!』の発行を開始
今回は、企業が今後積極的に取り組んでいくべき「パーソナライズドマーケティング」について、その概要や具体的な施策・企業事例などをご紹介しました。
顧客それぞれの趣向やニーズに合わせて、最適解を提供するパーソナライズドマーケティングは、ユーザー満足度やロイヤリティを向上する上で欠かせない存在と言えるでしょう。
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