コラム

顧客エンゲージメントとは?概念の意味や向上させるメリット・やり方について解説

2022.09.28

「顧客エンゲージメント」は、企業に対して顧客が抱く心理的な結びつきの強さを表す指標です。

企業が継続的に顧客と良好な関係を築くためには、顧客エンゲージメントを高める戦略の立案・アプローチを行うことが非常に重要です。

この記事では昨今、多くの企業が注目している「顧客エンゲージメント」に関して、その概要や重要視される背景・具体的な方法をご紹介します。

顧客エンゲージメントとは

マーケティング活動における「顧客エンゲージメント」とは、企業と顧客との心理的な親密度や信頼関係のことを指します。

顧客が「企業」や「企業が提供するサービス」に対して、どの程度の信用や愛着を持っているかを測る指標であり、エンゲージメントが高まることで「多くのプロダクトの中から、あえて自社の商品を選択してくれる」「単発でなく、継続的に利用してくれる」といった顧客のアクションを期待できるようになります。

例えば、あなたが以前から愛用している全国チェーンのハンバーガーショップがあるとしましょう。

  • 他にもジャンクフード店があるのに、高頻度で1つのショップを利用してしまう
  • 新商品の情報はこまめにチェックし、気になった新作は必ず食べに行っている
  • 美味しかった商品はSNSで共有したり、口コミサイトにレビューを書き込んだりしている

仮に上記のような行動を無意識的に取っているのであれば、あなたのハンバーガーショップに対するエンゲージメントは非常に高い状態であることがわかります。

顧客ロイヤルティとの違い

続いて、混同されがちな概念である「顧客ロイヤルティ」との違いについて、簡単に説明します。

顧客ロイヤルティとは、顧客が対企業やそのブランドに対して感じる「忠誠」の度合いを指す言葉です。1商品に対してではなく「企業そのもの」「ブランドそのもの」に対して、絶対的な信頼や愛着心を抱いている状態が該当します。

例えば、PCやスマートフォンといった電子デバイスで有名な「Apple社」の商品は、巧妙なブランディング戦略により、高い顧客ロイヤルティを実現しているわかりやすい事例といえます。

実際、PCの購入時にあえて「WindowsではなくMacを選択する」という人の中には、PCの利便性やスペックだけでなく

  • Apple製品の洗練されたデザイン性が好きだから
  • Apple社の商品を使うことで、自尊心が満たされるから
  • 電子デバイスでは「Appleの商品を選ぶ」のが、自分の中で定番化しているから

など「Apple製品への強いロイヤリティ」を理由に、その選択をしている方も少なくありません。

このように「企業やそのプロダクトのことを(ある種、盲目的に)信頼し、愛着を抱くこと」が顧客ロイヤルティであるのに対し「顧客エンゲージメント」企業と顧客とがより双方向の関係を築いている状態を表します。

ときには顧客から企業に対して「本音で不満や意見」を伝えたり、カジュアルなコミュニケーションを行ったりと、ロイヤリティに比べフランクな信頼関係を築いているという特徴がみられます。

どちらも企業が継続的に「選ばれるサービス・プロダクトの提供」を行う上で欠かせない概念であり、両者をバランスよく意識した戦略作りを行うことが重要です。

なぜ顧客エンゲージメントが重要視されるのか

顧客エンゲージメントの概念が昨今、多くの企業にて重要視されています。

以前に増して「顧客エンゲージメント」の向上が意識されるようになった背景として、このサイトで何度もお伝えしている、以下のような理由を挙げることができます。

  • 起業やD2Cのハードルが下がり、競合他社・プロダクトの数が爆発的に増加した(=必然的にライバルが激増した)から
  • 顧客の情報リテラシーが上がり、情報の取捨選択や事前調査が可能となった(=顧客自ら欲しいものを選ぶ、能動的な購買行動へシフトした)から
  • ユーザーの価値観が多様化・複雑化し、従来の「ただ良い商品を販売する」モデルでは通用しなくなった(心理的満足度の向上や、価値ある体験の提供が必須に)から

こういった背景を踏まえ、顧客に「選択され続ける企業」であり続けるためには

→ 顧客にとって無意識に足を運んでしまうような
→ 当然のように手を伸ばしてしまうような

まるで「行きつけの喫茶店」のように、顧客にとって親密度の高い存在の地位を確立することが重要となりました。

そこで着目されるようになったのが、今回のテーマである「顧客エンゲージメント」という考え方です。顧客にとって満足度の高い体験(CX)や心理的な喜び・感動を提供することで、企業やプロダクトへの信頼や愛着を獲得し、中長期的に継続される関係構築をおこないます。

会社が収益を上げ続ける仕組み作りにおいて、顧客エンゲージメントの向上を図ることは必須の課題であると言えるでしょう。

顧客エンゲージメントを向上するメリットとは


顧客エンゲージメントを高めることは企業にとって多くのメリットをもたらし、結果として継続的な売り上げの増加・会社の成長に繋がります。

▼顧客エンゲージメントを高めるメリットの例

  • 顧客みずからが「広告塔」になってくれる
  • アップセル・クロスセルに繋がりやすい
  • 本音に近い改善点や不満を聞くことができる
  • 中・長期的な関係を築くことができる(LTV)

顧客みずからが「広告塔」になってくれる

顧客エンゲージメントを高める1つ目のメリットは、顧客自らが積極的に「企業の広告塔」としての活動してくれることです。

  • TwitterやインスタグラムのようなSNSツール
  • 身近な人への声かけ・友達紹介
  • 口コミサイトへの書き込み

などユーザーが能動的に広告活動をおこなってくれる状態を確立することで、企業の知名度向上やイメージアップ・売り上げの向上へ繋がる、ポジティブなサイクルを生み出すことが可能です。

アップセル・クロスセルに繋がりやすい

2つ目のメリットは、「アップセル」や「クロスセル」が自然とおこなえる環境を生み出せることです。

企業が長期的な成長を目指す上で、顧客1人あたりの単価アップや継続利用を叶える「アップセル」「クロスセル」の実践は非常に有効な手段と言えます。

用語意味
アップセル顧客に対し、より上位ランクの高価な商品・サービスを提案することで顧客単価を上げる方法。
クロスセル顧客に対し関連商品・サービスを提案し、顧客単価を上げる方法。

顧客エンゲージメントが高い状態であれば、顧客自らの意思で「せっかくなら上位機種を買おうかな」「関連商品も、このメーカーで揃えようかな」といった、アップセル・クロスセルを実行してくれる可能性が高まります。

本音に近い改善点や不満を聞くことができる

3つ目のメリットは「建前でなく、ユーザーの本音に近い意見や不満を集められる」という点です。

企業にとって「顧客の真のニーズ」や「商品・会社に対する不満」は、商品開発やサービス改善をおこなうにあたり重要なヒントとなります。

そのため「顧客の声」や「アンケート」の回収は企業にとって重要な施策である一方、心理的に親しい関係を築けていなければ、建前上の意見ばかりを集めてしまうリスクも考えられます。

その点、顧客エンゲージメントの高いユーザーの意見であれば「企業やサービスをより良くしたい」という思いが強いため、上辺だけでない本音の意見や不満をぶつけてくれる可能性が高いです。

また実際、希望にかなったプロダクトやサービスが実現すれば、購買や利用に至ってくれる見込みが大きい点もメリットです。

顧客エンゲージメントを高めることは「信頼のおける味方」として、意見を求められる現場視点の仲間を作ることに繋がります。

中・長期的な関係を築くことができる(LTV)

4つ目のメリットは、単発でない「中・長期的に関係を築ける存在になれる」ということです。

企業の集客にとって最もコストが必要となるのが「初回のお客様を集める」ためのフェーズです。

そのため企業が費用対効果よく売り上げを伸ばすためには「過去に購入履歴のある、リピーター顧客を増やすこと」が非常に重要となります。

よってユーザーと親密な関係を築き、繰り返し利用してもらえる「顧客エンゲージメントの高い状態」を作り上げることは、効率的に収益を伸ばしたい企業にとって、欠かせない要素と言うことができます。

この「単発ではなく、中長期的な期間」で、1人の顧客からどれだけ物を買ってもらったり収益を上げてもらったか、という考え方のことを「LTV(ライフタイムバリュー)」といいます。

以上、顧客エンゲージメントを高めることで得られる、4つのメリットについてお話ししました。

顧客エンゲージメントを高める方法

顧客エンゲージメントの向上を図るには、まずは自社にとって「理想となる顧客のニーズや声」に耳を傾け、顧客理解をおこない、最適なアプローチを仕掛けることが必要となるでしょう。

▼顧客エンゲージメント向上のための方法

顧客の声に耳を傾ける
オムニチャネルを展開し、様々な顧客接点を設ける
カスタマージャーニーを作成し、顧客接点を洗い出す
・顧客をパーソナライズし、最善の顧客体験を提供する
顧客が親しめるコンテンツ発信をおこなう
迅速で丁寧なコミュニケーションをおこなう

顧客との現時点おける接点を洗い出す方法として、有効なものに「カスタマージャーニーマップの作成」があります。

カスタマージャーニーとは顧客が企業や商品を「認知」してから実際に「購入」をし、購入後にいたるまでの一連の流れを「視覚化」した状態にアウトプットしたものを指します。

カスタマージャーニーを作り顧客接点を書き出すことで、どの時点のアプローチに改善を加えるかや、新たな接触ポイントを加えるかどうかなど、最良の顧客体験提供を実現するための戦略立案をスムーズにおこなうことが可能となります。

▼関連コラム:カスタマージャーニーって何か知ってる?今さら聞けないカスタマージャーニーについてご説明します

また顧客エンゲージメントの向上を図るためには、顧客の望む(常用する)チャネルにおいて、最適なサービス提供とコミュニケーションの働きかけをおこなうことが重要となります。

例えば「利便性を求め、スマートフォンからの効率的な商品購入を希望する」顧客に対してであれば

  • UXの高い通販アプリの提供
  • Web決済のみで利用できるクーポンの発行
  • SNSを活用したお得な商品情報の配信

をおこなうなど、各ユーザーが最も利用しやすい環境にて、パーソナライズしたサービス提供やプロモーションを仕掛けていくことが、エンゲージメントの向上を促します。

パーソナライズされた、顧客一人ひとりに響きやすいサービス・情報提供を行うためには

  • 顧客を基本情報や行動履歴に基づいてセグメントし、最適なアプローチをおこなう
  • 顧客の過去の購買データを蓄積し、それに基づいた施策展開(クロスセルや割引サービスなど)をおこなう

といった分析を意識的に実施し、それぞれに最善の施策を提供します。

まとめ

昨今注目を集めているマーケティングの概念「顧客エンゲージメント」について解説しました。

企業が長期的に売り上げを伸ばし、顧客とともに成長するためには、顧客エンゲージメントを高める働きかけが非常に大切です。

ぜひ本記事を参考に「顧客エンゲージメント」の理解を深め、顧客のニーズにあった最適なアプローチを仕掛けるよう心がけましょう。

CX Value Labでは、顧客と中長期的に良好な関係を築くために、効果のあるマーケティング活動の方法や戦略立案についてサポートしております。

顧客エンゲージメントの向上に関心のある方は、ぜひ当社の問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。

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