コラム

カスタマーサクセスとは

2022.10.17

「カスタマーサクセス(CS)の定義」

カスタマーサクセス(CS)とは、顧客の成功体験の最大化と、それにより発生する売上や利益の増加、以前の顧客体験よりも良質な体験に変化させる事を目的とした活動の事です。

そもそも、顧客にとっての成功体験とはどういう事なのでしょうか。下記の2点が考えられます。

  • 自社の商品やサービスの導入により、顧客のビジネス・生活で具体的な実績が出ること(効率性・生産性の向上)
  • 顧客が自社の商品やサービスに満足したという実感を得たり、顧客の人生に利益が出ること(顧客満足度向上)

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顧客視点でカスタマーサクセス(CS)に取り組む背景

カスタマーサクセス(CS)を進める上で、顧客視点で取り組む事が重要です。

代表的な要因として下記の3つの影響があります。

①サブスクリプションモデルの増加

消費者が企業に定額の利用料金を支払うことにより、モノやサービスを利用・体験できるサブスクリプションモデルを中心としたビジネスが活況を見せています。

サブスクリプションモデルでは、サービスを長く使い続けてもらうことが重要になり、顧客に自社の商品やサービスを通じた成功体験を積み重ねてもらうことが必要とされています。

②シェアリングエコノミー化

一般の消費者がモノや場所、スキルなどを必要な人に提供したり、共有したりするシェアリングエコノミーのような経済モデルの普及が進んでいます。

シェアリングエコノミーを構成する企業は消費者に直接商品やサービスを提供することはなく、あくまで消費者同士をつなぐWebサイトやアプリなどのプラットフォームを提供するだけとなり、顧客の行動把握・分析からのサービスの改善活動が重要とされています。

③市場の成熟化・コモディティ化

デジタル普及、テクノロジーの進歩により、平均や標準を根拠とした平均思考では市場に遅れを取ったり、消費者が期待する使用感をはるかに超えた過剰機能の商品が溢れ、いつのまにか強みやオリジナリティが希薄化し、弱みに変化します。

また、他業種の企業が参入することで市場が活性化しコモディティ化が進み、市場の成熟化が急激に進みます。

上記3つの要因により、

  1. 顧客と企業の関係が大きく変化している
  2. 消費者の購買ニーズの多様化が起きている
  3. サービス提供の質が変化している
  4. デジタル普及、テクノロジーの進歩により、強みが長続きしないという状況が生まれている

という状況がうまれ、これまで想定していなかった業界の企業と競合しなければいけなくなったり、売上低下の原因がまったく予測できなかったりするなど、変化が激しく先行き不透明なVUCA時代に突入しています。

企業は予測不可能な市場に模索と適応を繰り返しながら、従来の商品やサービスを「売り切り」から「顧客に継続して利用してもらう」事で事業成長・継続を実現しなくてはならない状況です。

顧客の声を拾い上げ、商品やサービスに迅速に還元していくサイクルをスピーディーに実行していく事が重要です。

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カスタマーサクセス(CS)を進める上で取り組むこと

導入

  • 導入から一定期間支援を行い、スムーズに利用できる状態になるためのアドバイスを行います。

⚪︎例:マニュアル配布・利用説明動画・コールセンター対応・FAQ(よくある質問集)準備・定期的はオンライン支援などを用いて顧客が自己解決できる環境整備

利用・活用

  • 購入後、期間を定めて顧客へヒアリングを行い、不明点の解消や利用してからの状況を確認したり、より効果的な活用のアドバイスを行います。

⚪︎例:商品やサービスに対してKPI設計を行いモニタリングの実行・定量データで顧客の行動を把握できる環境整備・期間を定めた顧客とコミュニケーション設計・活用事例の勉強会の開催

契約更新

  • 契約終了時期が近付いた顧客へフォローを行い、利用状況の把握や情報提供、活用アドバイスを行います。

⚪︎例:契約終了3ヶ月前に利用状況を把握・顧客へ有意義な情報提供や活用アドバイスの実行

アップセル・クロスセル

  • 導入後の利用状況をもとに新商品や新サービスの提案を行い、顧客の利益を増加させます。また、商品やサービスを適切に活用して実績を上げている顧客に対し、エンタープライズプランの提案します。

⚪︎例:データをもとに顧客の利用状況を把握し、顧客にスムーズに新商品や新サービス提案・サクセス指標を設計し、到達している顧客に利益最大化のためのエンタプライズプラン提案

顧客満足度向上

  • 顧客へのヒアリングで判明した問題点を品質向上のために社内へフィードバックします。

⚪︎例:アンケートを用いて顧客の声を取得し、自社商品やサービスの改善提案をプロダクトへフィードバック

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カスタマーサクセスにおけるミッション

カスタマーサクセス活動を通じて達成すべきミッションは「LTV最大化」です。

LTVは顧客が契約期間において自社にもたらす月額(MRR)、年額(ARR)の金額の合計値であり、商品導入・サービス提供に対する対価として得る収入です。

そのため、LTVを顧客ごとに「最大化」させる事が重要になります。

LTV最大化に必要なサクセス活動における指標が4つあります。

①【Retention(継続的な利用)】

顧客に「まずは使い続けてもらうこと」が出来なければ、 解約率(チャーンレート)が上がり、 LTVは上がるどころか、目減りします。

Retentionを維持するために重要な要素が、Adoption(利用率向上)とCustomer Satisfaction(顧客満足度)です。

②【Adoption(利用率向上)】

1日あたりの利用時間や日々のログイン回数を増やし、顧客のオペレーションにおけるサービスのインフラ化を目指すための、サービス全体の継続的なカイゼンが重要です。

顧客により頻度高く、より長い間利用してもらうことで、導入目的をより高いレベルで実現・達成できている事を体感してもらいます。

そのため、データをもとに顧客の活動を継続的にウォッチし、 サービス全体の継続的なカイゼンへとつなげる事を繰り返します。

③【Customer Satisfaction(顧客満足度)】

顧客と提供するサービスのマッチングが適切かを把握する事が重要になります。

満足度を向上するには顧客が利用する時のオペレーションの想定や抱える課題を理解し、そのオペレーションを効率化し、課題を解決するための具体的な機能を理解してもらうための継続的なコミュニケーションが必要です。

④【Expansion(利用拡大)】

データをもとにAdoption(利用率向上)とCustomer Satisfaction(顧客満足度)を実現できたら、より付加価値の高い機能の導入を促す縦方向の拡大と、利用アカウント(ID)の増加を目指す横方向の拡大を行います。

まとめ

今回はカスタマーサクセスの定義やその背景について整理しました。

時代の変化や顧客の変化を把握し、自社の商品やサービスにいかに顧客の声を反映させ迅速に改善を行い、「まずは使い続けてもらうこと」から「長く使い続けてもらうこと」へストレスなくスムーズに移行していくことが重要です。

自社の商品やサービスが顧客にどのように捉えられているのか、顧客の心を意識し継続したカイゼン活動が求められているのでないでしょうか。

弊社では顧客体験価値を企業の強みにしていくための、コンサルティングを行なっています。具体的にはカスタマーサクセスの支援、顧客を起点とした新規事業の創出やマーケティング、カスタマーサービスの効率化の支援など、貴社の顧客体験価値を成長させるための伴走支援を行なっています。

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寄稿者

内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)

業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。

SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)

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