2023.02.02
目次
カスタマーサクセス(CS)実現する上で他部門との連携や情報共有が重要な点を前回セールスとカスタマーサクセス(CS)の関係についてという内容で紹介しまたが、今回はカスタマーサクセス(CS)実現に必要なマーケティング要素について紹介します。
マーケティング要素が必要なのかというと、組織の中で顧客の声を直接電話やオンラインでの打ち合わせをおこない収集する方法とアンケートなども活用して間接的にも声を収集できる部門はカスタマーサクセス(CS)部門になります。
この顧客の声を事業成長に活かしていくこと、セールス部門やマーケティング部門に共有していくことで、自社サービスや商品の改善やLTVの最大化につながり「継続して使ってくれる」「ファンになってくれる」に近づきます。3つの要素についてご説明します。
マーケティング要素とは、カスタマージャーニーによる顧客体験理解、顧客のセグメンテーション、顧客のエンゲージメントになります。
この3つの要素は、すべての顧客に対して自ら積極的に関与する範囲やテクノロジーによってどの範囲の顧客をタッチするのかを決めていく要素になります。セールスが顧客を獲得し事業成長を続けると顧客数は増加するため、事業がスケールしていくフェーズに合わせてカスタマーサクセス(CS)活動も変化する必要があります。
この変化に合わせて施策を変えるためにマーケティング要素がキーになります。マーケティング部門が存在するので、このような要素はいらないと思われることもありますが、よくある課題として、顧客の声を収集しているカスタマーサクセス(CS)部門なのに、顧客の声を起点とした自社サービスや商品の改善活動がされていない、顧客からの最新情報があるにもかかわらず他の部門に上手く共有されずに、マーケティング戦略やセールスの販売戦略に活かされないなどがあります。
このような課題を解決するためにもカスタマーサクセス(CS) 部門で働く場合、マーケティング要素を持ち、顧客だけでなく、自社の他部門にも積極的に関与して事業成長を支えていくことが重要になります。
自社のサービスや製品を顧客が購入し利用する顧客体験理解のために、カスタマージャーニーマップを作成します。顧客が自社のサービスや商品を購入する前工程から購入した後工程までの体験を他部門と同じイメージを持ち、顧客の声を起点とした改善活動を進めやすくします。
例えば、マーケティング部門が「売り手側」視点から顧客の求めるニーズや気持ちを理解し商品やサービスを作り、その情報をどのように届け、顧客がその価値をどのように効果的に得られるかを考え売れる仕組み作りをします。
カスタマーサクセス(CS)部門は「買い手側」の視点で、自社のサービスや商品を契約してから、どのような体験をすることで顧客は導入した結果満足するのか考えます。2つの部門が異なるアプローチをしていますが、カスタマージャーニーをもとに顧客理解をすることで認識のずれを防ぎ、顧客に適切なアプローチを実現します。
契約数が増えていくと当然顧客も増加していきます。最初のころはすべての顧客に同じようなサービス提供が可能ですが、事業成長によって難しくなってきます。
そこで、ターゲットやセグメントを選定し、顧客の属性に合わせたコミュニケーションのアプローチ方法を設計します。そこで、ターゲットやセグメントを選定し、顧客の属性に合わせたコミュニケーションのアプローチ方法を設計します。
顧客のセグメンテーションをもとに顧客のニーズの変化や要望をデータを活用して分析し施策を設計します。自社サービス・商品の継続利用やアップセル・クロスセルといった活動のために顧客の選定をおこない、計画性を持って顧客と積極的にコミュニケーションをとっていきます。
アップセル活動やクロスセル活動で得た情報をもとに施策を改善して適切なコミュニケーションプランを構築していきます。
スターバックスコーヒー
スターバックスには、上質な空間でコーヒーを飲むことに特別感を見出す熱心なファンがいます。体験として、上質なコーヒーの提供、バリスタ(接客)、オシャレな空間に流れる心地よい音楽、Wifi完備といった顧客が喜ぶサービス提供をしています。
その上、コーヒー好きには魅力的なバリスタが目の前で教えてくれるなセミナーやスターバックスカードによる購入でポイントをためるリワードプログラムによってリピート顧客を増やしています。
購入金額によってリワードがたまり、一定数に達するとドリンクかフードと交換できるチケットが付与されます。無料でスターバックスのドリンクかフードを味わうことができ、友人へも気軽にプレゼントできるためファンにとって嬉しいサービスです。
NetflixやAmazon prime
NetflixやAmazon primeは、ユーザーがどんなコンテンツを視聴したのか、どのくらいの速度で視聴したのか、どんなデバイスで視聴しているのか、1日のうちどの時間帯に集中するのかなどユーザーの行動データを収集し分析しています。
個別のユーザーにおすすめのコンテンツをレコメンドすることや、ユーザー全体の視聴傾向を掴むことでオリジナルコンテンツの制作に活かしています。ユーザーの行動データを活かすことで、解約率(チャーンレート)を引き下げ、LTVを向上させています。適切なレコメンドが実行されることで、ユーザーの興味関心を維持して継続的な視聴を促進します。
セールスとカスタマーサクセスの連携についてコラムで紹介しましたが、マーケティング部門との連携も重要になります。カスタマーサクセス(CS)で顧客の声やデータを起点してマーケティング活動をおこなうため事業に影響のある情報を収集していることになります。
それによって、「顧客に対する解像度」「顧客体験のペインポイント」「顧客体験のゲインポイント」を把握しているため、マーケティング部門が持つ情報と擦り合わせをおこない、お互いに顧客情報をアップデートしていく必要があります。
共通のカスタマージャーニーのイメージを持ち、顧客に対する情報をお互いにクローズドループさせることが事業成長のカギとなります。
顧客は契約してから成長していきます。活用方法もですが、それぞれの企業を取り巻く環境変化に適応するために、契約してからの状況と異なる課題や実現したいことが発生します。この顧客の変化に気づけるのはカスタマーサクセス部門です。
普段から顧客の声を様々な方法で収集し分析し社内と顧客にフィードバックします。マーケティング要素を備えていくことで、カスタマーサクセス部門内でもマーケティング活動が可能になります。
マーケティング部門とも同じ目線で仕事をおこなうことで顧客への提供価値をニーズに合わせた変化をおこない事業成長につなげます。顧客体験の変化を的確に捉え、その変化を自社のサービスや商品の改善につなげていく活動を継続していくことが重要です。
内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)
業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。
SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。
グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)
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