コラム代表

「マーケティング」という言葉に対する大きな勘違い①(全3回)

2020.12.23

マーケティングという言葉の振れ幅による危うさ

「マーケティングの言葉の意味を理解されていますか?」

例えば東京・西新宿のビジネス街でこんな質問を多様なキャリアの方が受けた場合、その答えは画一的ではない、そう断言できます。そして「マーケティング」という言葉自体の危うさを日々感じています。

いわゆるマーケターと呼ばれるキャリアを10年以上 ー 社会人人生の半分以上に渡って過ごして来ました。一番最初にマーケティングという概念を知った際の理解は「マーケティングとは製品やサービスすべての企画である」でした。

その後転職を重ね、とある企業のマーケティング担当をしている際に、上司とは前述の概念でほぼ認識を統一できている一方で、会社の上層部や現場の方から期待されている目的が明確に異なると理解しました。彼らはただ「集客をしてほしい」という期待値を持っていたのです。

その後大学院でマーケティングを学ぶにつれて、この価値観の相違は頻発しているのではないか、そのことによって関係者間で期待値のズレが起き、結果的に大きな経営判断のズレが起きているのではないかと危惧しています。

マーケティングの範囲の定義

では先人たちはマーケティングをどのように定義していたのかをご紹介します。

「マーケティングとは社会的かつ管理的プロセスの 1 つであり、このプロセスを通じて、個人や団体は価値のある製品を創造し、提供し、さらに他者と交換し、それによって必要なものや欲しいものを手に入れることができる」 

フィリップ・コトラー 

「マーケティングと販売は、字義以上に大きく異なる。販売は売り手のニーズに、マーケティングは買い手のニーズに重点が置かれている」

セオドア・レビット

「マーケティングの役割は、販売の必要性をなくすことだ」

ピーター・ドラッカー

一方で皆様が日常的に参考とする書籍やWikipediaにはこのように書かれているかと思います。

「消費者の求めている商品・サービスを調査し,供給する商品や販売活動の方法などを決定することで、生産者から消費者への流通を円滑にする活動。

「三省堂大辞林」より引用

「企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。」

Wikipedia

それぞれ対象としている範囲は少しずつ異なりつつも、共通項を整理するとこのようなことが範囲であると定義されているようです。

・顧客起点である。

・価値を創造する活動である。

・仕組み、プロセス、一連の活動である。

・(プロモーションに限った話しではなく)製品・サービスまでも含まれる。

・戦略である。

製品やサービスを”宣伝する”ことはマーケティングではない。

私が感じた違和感は”集客する”ことはマーケティングではなく、プロモーションを適切に行った結果でしかないことにありました。にも関わらず、マーケティングという言葉はとても汎用性が高く、そしてズレが起きていると思います。

そしてこのズレが、経営層のマーケティングチームに対する多くの場合の期待に応えることができない理由につながります。経営層から”集客”や”売れること”にフォーカスした”マーケティング”を期待された現場はどのような行動をするでしょうか。まるでエナジードリンクのような短期的・瞬発性のある解決策に走ろうとします。そして多くの場合、そういった顧客は一度切りの試用に終わるのです。経営層が後日通期でのPL/BS、もしくは企業によってはLTV(顧客生涯価値)を確認した際に、冷や汗を掻いてマーケティング担当者を問い詰める、そんなシーンが頻発しているのではないかと危惧します。

まず自社のマーケティング活動”は何を指しているのか。企業によってブレのあるこのキーワード、ただの集客やインプレッション数を稼ぐ、申込数や売上を稼ぐことが目的となっていないか。この機会にキーマンの認識を確かめてみてはいかがでしょうか。

(次回に続く)

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