2023.03.09
以前のコラムで、弊社が提唱する「顧客体験価値中心の経営」(Customer eXperience Transformation)の重要概念において、「サービス・ドミナント・ロジック」「H2Hマーケティング」「サービス・プロフィット・チェーン」の3点を紹介しました。
今回は「サービス・ドミナント・ロジック」の中でも概念として重要な「オペラント資源」について、深堀りしていきたいと思います。
目次
サービス・ドミナント・ロジックとは、「顧客と企業及びステークホルダーとの関係性を重視し、価値に共創を取り入れ、ネットワーク型の考え方を提案した、現代における”エコシステム”の観点を取り入れた理論」です。
その構成要素として紹介されているのは「オペラント資源」の重要性です。
オペラント資源(operant)とは無形なで動的、理論上無限とされる経営資源を指し、例としては顧客のフィードバック、社内のノウハウなどが挙げられます。オペランド資源に比べて、オペラント資源は企業にとってコントロールができないことが多く、獲得が困難だと言われています。
オペラント資源は企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
サービス・ドミナント・ロジックでは、経済的な交換の基礎はサービスであると定義しています。
すなわち、「モノ」は「サービス」という価値の一部でしかなく、また「媒介物」です。「媒介物」である以上は、使用する顧客側の利用・活用方法によって、結果が変わります。
顧客に対して、どのような使い方を推奨するか、その推奨こそが価値であり、その利用法は企業側が想定したものと、想定範囲外が必ず出てきます。その想定範囲外は、実際に顧客が利用して生じるケースが大半です。
例を挙げるとすると調理器具。例えば筆者が自宅で利用している遠赤外線でプレートを熱して調理をする輻射式のホットプレートでは、基本的な使用方法や、肉類の焼き方などと共に、焼き芋を焼く方法や、油を使わずに揚げる唐揚げなどのレシピ・調理方法が掲載された小冊子が付属しています。
これは当初メーカー側が想定した以外の調理方法についてユーザー側が気づき、メーカー側がその調理方法を再現して、小冊子化して、その小冊子によって調理器具のポテンシャルをさらに付加した、まさに「オペラント資源による付加価値の創出」と言えます。
企業がオペラント資源を獲得するためには、どのような準備が必要なのでしょうか。
顧客の声で表せられるVoC(Voice of Customer)を余すことなくキャッチアップし、その理解をして、製品やサービス、もしくはオペラント資源化していくというプロセスはマストです。
例えばコールセンターで言えば、顧客の声をただ聴いて回答するだけではなく、その声と回答内容をデータベースに蓄積し、ソートなどを通じて特定のテーマやタグ付などによるジャンル分けをもって、いつでも引き出せる状態に、データベースとして構築していきます。
他にもコミュニティの設置などを通じて、常時ヒアリングできる状態を構築するなどの方法もあります。
データから何が言えるのかのSo What?を導き出します。余談ですが、日本の大量の企業はこのプロセスが抜けているように思えます。
他方、解析については、データアナリストなどの技術を持ったスタッフが必ずしも必要ではなく、むしろ共感をもってユーザー体験を想起していくということがイメージできるスキルがあれば十分でしょう。
解析に際しては、ワークショップなどを通じて実行してみてもいいかもしれません。
オペラント資源として価値を生み出すものを制作します。これはWebサイトや紙媒体などを通じて、ユーザーや顧客側に製品の一部として提供していきます。
前述のホットプレートであれば、取り扱いマニュアルと別で小冊子としてまとめられていたり、QRコードでさらにWebサイトに誘引するという仕組みが構築されていました。
オペラント資源は、「モノ」は価値の媒介でしかないという概念であるサービス・ドミナント・ロジックで、「サービス」という価値の一翼を担う大切な要素です。この集積は意図して仕組み化をしない限りは集積、資源化できません。
データベースの構築や、サービスに活かすための分析など、オペラント資源の有効活用に向けては弊社が支援できますので、ご興味がありましたら無料ご相談をご利用ください。
廣瀬隆彦(CX Value Lab株式会社代表取締役)
エンターテイメント企業でアーティストのマーケティングや直販ECサイトなどの新規事業に従事、世界的レストランチェーンのマーケティング責任者や最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメントを経て、CX Value Lab株式会社を創業。
SaaSベンチャー企業の支援や中小企業の新規事業・DX化支援などを中心に、社内起業家の育成なども行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)
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