コラム

カスタマーサクセス実現に向けたプロフィットセンター化

2023.03.16

今回は、カスタマーサクセスを実現するために必要な組織の変化についてご説明します。

企業によって定義が異なりますが、プロフィットセンターとして営業部門やマーケティング部門、やコストセンターとしてカスタマーサービス部門が位置づけられたりします。

プロフィットセンターをわかりやすく説明すると、利益に関係するKPIを持ち、利益を生み出す部門として事業戦略上決定します。ただし、プロフィットセンターへ移行することが良いか悪いか、コストセンターが良いか悪いかではなく、企業ごとの事業特性や社内文化に合わせて考えて組織設計します。

プロフィットセンターとは

プロフィットという単語は、「利益」や「収益」という意味です。

プロフィットセンターは「利益を生み出す部門」という意味で使われています。企業の中で利益を生み出す部門というと、皆さんがすぐ思い浮かべるのは売上獲得をおこなっている部門である営業部門のことを思い浮かべる人が多いかもしれません。

ここ最近では、マーケティング部門や営業企画部門などをプロフィットセンターと位置付けている企業もあります。プロフィットセンターとして企業内で位置付けられると、利益を最大化するミッションが与えられます。そのため、利益・収益を最大化するための戦略を策定して実行することになります。

ただし、今までプロフィットセンターとしてKPIを持っていない組織だった場合、KPIをなぜ持つのか、どういうKPIを達成するために行動するのか、業務プロセスで何を変更するのか関係者に理解してもらい進めることが重要です。

コストセンターとは

コストセンターとは、企業にとって直接利益を生まず「コストとなる部門」になります。

総務部や人事部、経理部などの間接部門などをコストセンターと位置付けています(企業によって異なる場合もあります)。コストになる部門とされているため、生産性を高め費用をいかにして最小限に収めることが求められます。

ただし、企業にとって直接利益を生まなくても、組織の運営を助ける役割を担っているため、事業成長に必要不可欠な組織です。自社のサービス・商品の提供価値をどのような顧客に届けるのか、顧客がどのような体験を求めているのかによって組織運営の役割を変更していきます。

あらゆる企業活動はコストを発生させる一方、直接成果に貢献していないからという理由で優劣を決めるものではなく、それぞれの部門には必ず役割が存在することは忘れないようにします。

プロフィットセンターに変化することで生まれるメリット

  • 企業の収益・利益を意識したKPIを目標に持つ部門が組織内で増えることで、競争力が向上します
  • 今までの業務プロセスや戦略ではプロフィットセンターへ移行できないため、段階を踏んで新たな業務プロセスや戦略が実行されることで部門が活性化する
  • プロフィットセンターへ移行した部門が、以前と比べて顧客により高い価値提供できることで収益・利益に貢献できます

カスタマーサクセスを実現するためになぜプロフィットセンター化するのか

以前のコラムでもご説明しましたが、カスタマーサクセス(CS)とは、顧客の成功体験の最大化と、それによって発生する売上や利益の増加、以前の顧客体験よりも良質な体験に変化させる事を目的とした活動の事です。

  • 自社の商品やサービスの導入により、顧客のビジネス・生活で具体的な実績が出ること(効率性・生産性の向上)
  • 顧客が自社の商品やサービスに対して満足したという実感を得ることで、顧客の人生に利益が出ること(顧客満足度向上)

上記を実現するためには、テクノロジーの進歩やVUCAな時代の中で、顧客と企業の関係性は大きく変わり、今までの戦略だけでは対応できなくなってきています。

そのため、自社のサービス・商品を顧客の購買ニーズに合わせて変化させることやサービス提供の質の向上が重要になっています。仮に、プロフィットセンターを能動的な組織、コストセンターを受動的な組織とした場合、プロフィットセンター化すると顧客の体験成功のために積極的に関与し、自社のサービス・商品の提供価値を顧客の体験価値向上のために向けた戦略を実行します。

これにより、競争力を高めることになり収益・利益へ貢献できることになります。

プロフィットセンターへ移行しカスタマーサクセスを導入する注意点

部門単独では利益・収益を生み出すことはできないため、企業全体の視点から計画する

企業全体を俯瞰的に捉えて、顧客ニーズやビジネスモデルの変化を見極めて計画を立てます。ただ、プロフィットセンターへ移行すればいいというわけではなく、顧客体験を考え、事業成長に必要な判断をして移行を決定します。

また、顧客の声を事業戦略に反映させることや解約率を防止するために顧客とのコミュニケーションをデザインして計画的に顧客に関わることで利益・収益に貢献します。

顧客起点で事業戦略を策定し連動させる

顧客行動の変化やビジネスモデルの変化があると事業戦略の見直しが必要です。例えば、プロフィットセンターへ移行する時、今まで受け身の組織だった場合、段階を経て能動的な組織へと移行し、事業戦略と連動させるために、KPIの設計や関係者の理解を得ます。

他部門と連携を強化する

今までコストセンターとして機能していた場合、突然、自部門だけで戦略を進めることはできないため、もともとプロフィットセンターとして機能していた部門と連携を図ります。連携を図り強化することで、戦略をスムーズに実行するための情報共有や相談をおこないます。

顧客情報を適切に管理する仕組みの構築をする

例えば、カスタマーサービス部門をプロフィットセンターへ移行する場合、顧客への対応が異なります。顧客に積極的に関与しカスタマーサクセスを実現する部門へと移行するためには、顧客情報を適切に他部門と連携して管理します。

その上で、いかにして計画的に顧客体験向上のために顧客と接するのか戦略を策定し実行します。そのため、顧客情報を管理する仕組みを構築します。

顧客体験向上を目的とした提供価値を届ける

プロフィットセンターへ移行することでどのような顧客体験価値を提供できるのか、自社のサービス・商品の提供価値を届けることができるのか整理して移行を決定します。

とりあえず移行すると、誰も理解できないまま移行されるため、計画された戦略の実行やKPI達成は難しくなります。

まとめ

部門をコストセンターからプロフィットセンターへ移行することでカスタマーサクセスの実現を目指します。

ただし、必ずプロフィットセンターへ移行しなければいけないものではなく、事業戦略や顧客との関係性、ビジネスモデルの変化など、様々な要素から最適解を見つけます。

また、企業活動にはコストが発生します。このコストに対して、どのようにして貢献するのかを役割を明確にすることで、利益・収益に直結しなくても組織運営には必要な部門となります。

今回のポイントは、カスタマーサクセスが昨今求められる中、どのようにして組織の役割を変更するのか、もしくは、変更しないのかを顧客体験向上を目的とした事業戦略や業界特性に応じた役割を理解して事業成長を目指すことになります。

カスタマーサクセスの構築や顧客の体験価値を向上するための戦略策定、カスタマーサービスの構築など無料相談をおこなっております。お気軽にご相談ください。

寄稿者

内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)

業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)

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