2023.03.30
カスタマーサクセスをおこなうために、部門間連携が重要なことを以前のコラムで紹介しました。
マーケティング部門やセールス部門と連携していくことで、カスタマーサクセスを実現していきます。
コミュニケーションの活性化によって情報の流れをスムーズにすることで組織全体でカスタマーサクセスの活動を理解し、顧客のために連携して自社のサービス・商品を提供します。
カスタマーサクセス(CS)とは、顧客の成功体験の最大化と、それによって発生する売上や利益の増加、以前の顧客体験よりも良質な体験に変化させる事を目的とした活動の事です。
カスタマーサクセスを実現するために重要なことは、顧客の成功の状態を定義して、顧客体験を理解して支援方法を設計することです。この支援方法に対して、KPIを定義します。
カスタマーサクセス活動の成果として何を達成することで、顧客の成功=カスタマーサクセスなのかを測ります。KPIには解約率やLTV最大化などをKPIにおきます。
また、この支援方法を実行するためには、活動をおこなう社員の役割を明確にし動きやすい体制を整え、全社レベルで取り組みます。
今まで、カスタマーサクセスを導入していない場合、トップダウンで進める施策やチーム内で進める施策などがあるため、適切に組織としてマネジメントしながら実行していきます。
業種や業界によってカスタマーサクセスの定義は異なります。業種やビジネスモデルが異なれば、成功の定義は顧客ごとに異なるからです。
顧客はどのような体験を経験しているのか把握し理解します。
「顧客にとっての成功とはどのような状態か」「顧客が成功するために必要なことは何か」を正確に知ることで最適な支援方法を設計します。
カスタマーサクセスの活動によって得たい成果を決めます。得たい成果によって取り組むべきことの優先順位が変わるため、期待する成果を明確にします。
例えば、解約率(チャーンレート)や継続率、顧客ロイヤリティの向上、アップセル・クロスセルによるLTV最大化などです。
【KPI例】
解約率:顧客が取引や契約等を解約する割合を示すものです。解約率の中に、カスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートというものがあります。
カスタマーチャーンレートとは、ユーザー数を基準にして算出する数値です。一定期間にどれだけのユーザーが解約したのか、または有料から無料に変更したユーザーがいるかを表します。
レベニューチャーンレートとは、期間内の収益を基準に算出します。一定期間の解約が、収益に対してどれほどの影響を与えるかがわかる指標になります。期間は、日・週・月で算出します。
カスタマーサクセスを実現するにあたり、カスタマーサービスの整備や他部門連携が重要になります。
カスタマーサクセスの役割を決めることで、顧客とアプローチした時に顧客の成功を阻害することがないようにします。役割が異なる事で、追うべき指標も異なります。
また、この役割が実行できるためには、全社レベルで進めることも重要です。経営層の認識が揃っており、状況に応じてトップダウンで施策を進めます。
カスタマーサクセスの導入をおこなう場合に、今まで、顧客への接点が受け身の施策や戦略であると、急にカスタマーサクセスを実行することは困難です。
顧客の解像度や顧客がどういう体験をしているのか、そもそも、どういう人が顧客なのか明確になっていなかったり、カスタマーサクセスをおこなう場合、顧客へ積極的に関与していきます。
受け身の状態から能動的な行動に変化する必要があるため、カスタマーサクセス活動に関わる社員の顧客の解像度を鮮明にすること、受動的な組織から能動的な組織へ変化するためのマインドセットやルール決めが必要です。
チーム内のコミュニケーション量を増やしたり、1on1などを用いて1人1人が取り組める体制作りの支援をおこなったり、ルールや言葉の定義を決めて同じ認識で進んでいくための準備をします。
カスタマーサクセスを実現するためには、自社の事業理解、サービスや商品の理解も重要ですが、自社の顧客の解像度を鮮明にすることも重要です。
顧客がどのような体験をしていて、何に対して成功と感じているのか、逆に何に対して困っているのかを理解することで、顧客の成功=カスタマーサクセスを実現します。
そのため、顧客の理解のために、内部環境や外部環境を分析し、自社の現在地を理解します。競合がどのような戦略をおこなっているのか、市場がどのように変化しているのか把握します。
その上で、内部環境や外部環境だけでなく、顧客分析をおこない、顧客が自社にどのように影響を及ぼしているのか把握します。顧客分析の手法として下記のような方法があります。
ペルソナ設定
ペルソナ設定とは、自社のサービス・商品を利用する架空のユーザー像を設定し、価値観や行動特性などを把握します。
ターゲット設定は、40代男性や理系の学生など年齢や性別、属性など大枠で顧客をグルーピングして設定します。顧客のニーズが多様化・個別化している状況下では、ターゲット設定だけでは顧客に対する不足している情報があるため、ペルソナ設定をします。
ペルソナ設定をすることで、よりユーザー視点で議論や意思決定ができるようになります。また、社内に明確に人物像を伝えることができるため、各部門でサービス設計をおこなう時に認識間違いやズレを防ぐことができます。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを知り、購入・利用意向をもって実際に購入・利用するまで、また、利用後に利用の継続や再購入の意思決定をするまでに、顧客が辿る一連の体験を「旅」に例えたものです。
顧客の価値観の多様化・個別化が起きているため、顧客がどのようなプロセスで自社のサービス・商品を体験しているのか辿っていくために作成します。
作成することで、どのプロセスをどのようにマネジメントしていくのか、どのプロセスの顧客の感情をプロダクトや顧客へのアプローチで改善して継続して利用してもらえるのかを決定します。
カスタマージャーニーを作成することで、顧客の解像度が上がり、顧客にファンになってもらう体験を設計し計画的にアプローチできる施策を策定していくことができます。
今まで顧客へ能動的なアプローチをおこなっていない場合、突然実行することは困難です。
そのため、活動に関わる社員の理解度を上げながら、サービスの提供範囲を決め、ルールを決め、マインドセットをおこないます。
取り組んだことがないことへの不安や方法などを一緒に明確にしていくことで行動しやすい環境を作ります。
サービスの提供範囲を決める
顧客への支援方法が変化するため、サービスの提供範囲を決めます。
完璧なサービス提供を設計するのではなく、検証しながら最適な状態を模索します。
小さな成功体験を積む施策を繰り返し、今までやったことのない活動に対する苦手意識や不安を取り除きます。
また、部門で提供範囲が被らないように設計することで組織内の混乱を防ぎます。
部門間連携のルールを決める
カスタマーサクセスの活動は、部門をまたいで活動することがあります。
そのため、部門接続のルールやプロセスも構築します。先に決めておくことで、無駄なコミュニケーションが発生せずに効率化できます。
ただし、定期的に見直し、顧客との接点状況や組織の状況に応じて変化させます。
その上で、いかにして計画的に顧客体験向上のために顧客と接するのか戦略を策定し実行します。そのため、顧客情報を管理する仕組みを構築します。
マインドセット
カスタマーサクセスの活動は今までの役割や求められる成果が異なります。どうすればいいのか、どうやって達成するのかなど不安な気持ちや焦りがでできます。
マネジメントとして、1on1や定期的なMTGでチームの現状把握し、困っていることを解決したり、方向性を常に示して一緒に実行していくことで、受け身のマインドから積極的な行動ができるマインドへ変化させます。
カスタマーサクセスを実現する場合、戦略だけ先に決まっていても達成できないため、カスタマーサクセス活動に関わる社員のカスタマーサクセスの理解度向上や顧客への解像度、取り組む上でのマインドセットなどを一つずつマネジメントをおこないます。
今までと異なる活動になるため、定義やルールを明確にし、動きやすい環境を整備します。また、組織全体で取り組む姿勢が重要です。
弊社では、カスタマーサクセスの構築支援をおこなっております。無料にて相談を受付しておりますので、お気軽にご相談ください。
内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)
業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)
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