2023.04.13
今回は、カスタマーサクセス実現に必要な顧客体験について寄稿します。
カスタマーサクセスについては、過去のコラムで紹介させていただいております。カスタマーサクセスとは、自社の商品やサービスの導入により、顧客のビジネス・生活で具体的な実績が出ること(効率性・生産性の向上)、顧客が自社の商品やサービスに対して満足したという実感を得ることで、顧客の人生に利益が出ること(顧客満足度向上)です。
このカスタマーサクセスを実現するにあたり、なぜ顧客体験が必要なのかというと、サブスクリプションビジネスで考察した場合、プロダクトが買い切りではなく、顧客に購入前から、その後のサービスを含め評価をされるようになっていることが関係します。
「どのように顧客が体験するか」、CX=カスタマーエクスペリエンスという視点が必要な状況になっています。
目次
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、英語では「Customer Experience」と書き、直訳すると「顧客体験」という意味になります。
顧客が商品やサービスを体験して、顧客視点=CXでその価値を評価することです。
価値とは、商品やサービスを購入する前の対応から購入後のサポートまで、顧客が自社の商品やサービスに関して体験したすべてが対象です。
気を付ける点として、購入してから購入が完了した時点までではなく顧客体験は、その前後を含み広い範囲を意味します。
カスタマーエクスペリエンス(CX)に似たような言葉として、カスタマーサティスファクション(CS)やユーザーエクスペリエンス(UX)があります。
カスタマーサティスファクション(CS)とカスタマーエクスペリエンス(CX)の意味は、両方とも顧客に焦点を当てた用語であり、似ているように見えますが、異なる意味を持ちます。
カスタマーサティスファクション(CS)は、顧客が製品やサービスに対してどれだけ満足しているかを表す指標であり、特定の時点での顧客の意見や評価に基づいて測定されます。
つまり、カスタマーサティスファクション(CS)は、自社商品やサービスに関する顧客の意見に焦点を当てています。
一方、カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客が企業やブランドとの接触全体に関わる経験に焦点をあてたものであり、その経験には商品やサービスの購入からサポートやアフターケアまでが含まれます。
顧客が企業やブランドに対してどのように感じたかや、その体験に対してどのような反応を示したかに注目しています。
簡単に言えば、カスタマーサティスファクション(CS)は、特定の時点での顧客の満足度に重点を置いており、カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客が企業やブランドとの接触全体においてどのような経験をしたかに重点をおきます。
ただし、顧客が良い経験をした場合、それは満足顧客度を高め、また、良い顧客満足度は、長期的な顧客の忠誠心や口コミに繋がるため、両方の指標を改善することは重要です。
ユーザエクスペリエンス(UX)は、製品やサービスなどを利用するユーザーの経験に焦点を当てたものであり、ユーザーがどのように製品やサービスを使用するかについての感情や知覚、評価、対応、行動の側面を扱います。
ユーザエクスペリエンス(UX)は、製品やサービスがどのように機能し、ユーザーがその使用中に感情や感じることに重点を置いています。
一方、カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客が自社の商品やサービスとの接触全体に関わる経験に焦点を当てたものであり、その経験には商品やサービスの購入からサポートやアフターケアまでが含まれます。
顧客に対するサービスやアプローチの質に重点をおいており、その結果、顧客が企業やブランドに対する印象や忠誠心に影響を与える場合があります。
簡単に言えば、ユーザエクスペリエンス(UX)は、商品やサービスを使用するユーザーの経験に重点を置いているということ、カスタマーエクスペリエンス(CX)は、商品やサービス全体に関わる顧客の経験に重点を置いているということです。
ただし、両方とも、顧客の満足度や忠誠心に大きな影響を与える可能性があるため、企業は両方の経験の観点から顧客との接触を最適化することが重要です。
顧客ニーズが多様化・個別化し、顧客が何を求めているのか把握しにくくなっています。顧客との接点をオンラインやオフラインを通じて関係を持ち続けることで顧客の求めていることを把握します。
そのためには、顧客が、自社の商品やサービスを起点に何を体験するのかが重要です。良い体験を顧客と作り続けていくことで、顧客との長い関係性が続き、収益増加に影響します。
新機能や新商品のアップセルやクロスセルをおこないたい場合、良い体験をした顧客が購入につながったり新たな顧客を紹介したりすることになります。
悪い体験を顧客が体験し続けると、チャーン(解約)にもなり、口コミでの評価も悪くなる場合があります。
そうなるとこれから商品の購入を検討している顧客へも影響します。顧客のライフサイクルを理解し、顧客へ適切なアプローチが必要です。
良い顧客体験は、顧客平均単価の上昇や客離れを防ぐことになります。顧客が求めていることをどれくらい理解しているのか、理解した上で戦略として実行できているのかにより、顧客の体験と事業の成長に影響を与えます。
下記のようなポイントを意識しながら取り組みます。
顧客体験は、顧客のロイヤルティを向上させます。顧客が自分たちにとって価値のある体験を得ることができると感じると、その企業やブランドに依存し継続して、自社の商品やサービスを利用し続けます。複数のニーズや要望に合わせて、カスタマイズされたサービスを提供することで依存度を高めます。
良い顧客体験は、顧客に良い印象を与え、口コミを促進することができます。口コミ内容により、検討している顧客へポジティブな印象を与え、新しい顧客獲得につながります。
良い顧客体験は、企業やブランドが競合と差別化するための重要な要素です。良い顧客体験を提供することで、顧客が自社の商品やサービスを選ぶようになります。
競合の商品やサービスに満足していないため、似たような商品やサービスを探している場合に比較対象に選ばれるためにも顧客体験を磨き続けます。
良い顧客体験は、収益を増やすことにつながります。顧客が自分たちにとって価値のある体験を得ることができると感じると、再購入率が向上し、新規顧客を獲得することができます。
また、継続利用するためLTVの最大化に影響します。顧客との優れたコミュニケーションを確立することで、顧客との信頼関係を築き、収益増加になります。
良い顧客体験は、顧客満足度を向上させます。顧客が自分たちにとって価値のある体験を得ることができると感じると、顧客は満足度が高くなります。満足度は、顧客のロイヤルティを高め、企業やブランドの成功につながります。
顧客からのフィードバックを収集し、顧客がどこで困っているのか、何を感じて満足しているのか把握し、施策を実行します。
2020年に日本上陸した、サスティナビリティを意識した快適なシューズです。
Shopifyを使ってECサイトを運営しているオールバーズでは、店舗スタッフがECストアのカスタマーサービス研修を受け、反対にECサイトスタッフは、店舗研修を受けて顧客と触れ合う機会を設けています。
それぞれの視点で顧客理解を深め、CX向上に必要なアドバイスを得ることができます。オンラインで商品を購入してから商品が届くまでの時間の体験を改善したり、店舗スタッフの対応品質の改善につながります。
スターバックスには熱心なファンがいて、その空間でコーヒーを飲むことに特別感を見出す人がいます。
体験として、上質なコーヒーの提供、バリスタ(接客)、オシャレな空間に流れる心地よい音楽、Wifi完備といった顧客が喜ぶサービス提供をしています。
その上、コーヒー好きには魅力的なバリスタが目の前で教えてくれるセミナーやスターバックスカードによる購入でポイントをためるリワードプログラムによってリピート顧客を増やしています。
購入金額によってリワードがたまり、一定数に達するとドリンクかフードと交換できるチケットが付与されます。無料でスターバックスのドリンクかフードを味わうことができ、友人へも気軽にプレゼントできるためファンにとって嬉しいサービスです。
カスタマーサクセスを実現するには顧客を理解することが重要です。顧客が何を求めており、顧客の何を実現すれば成功と呼べるのかを確認するには顧客の解像度を上げていく必要があります。
自社の商品やサービスを顧客がどのように活用していればいいのか、その結果、期待を上回っているのか、自社内だけ分析して結論づけたりせずに、顧客にオンラインやオフラインであらゆるアプローチをおこない情報収集します。
普段からのお問い合わせやアンケート結果、営業からのフィードバックなどデータを収集し分析し、いかに早く顧客へ課題を解決して還元するのか、自社の事業に活用するのか決定し実行します。
カスタマーサクセスにも良い顧客体験にも、顧客からのフィードバックを自社の商品やサービスに、いかにして還元するのかスピードも大切です。顧客は、自社の商品やサービスを導入して活用していく期間が長くなるにつれ顧客も成長していくため、自社の商品やサービスも一緒に成長していく必要があります。
そのためにも、顧客体験を常に意識し、顧客とのコミュニケーションのデザインと情報収集を怠らずに取り組み、カスタマーサクセスを実現します。
カスタマーサクセスを実現するには、常に顧客を中心の体験をデザインし、戦略を実行します。
自社の商品やサービスが、市場で販売している期間が長くなり、顧客の活用期間が長く、利用頻度も高くなると顧客は経験を積んだことで成長していくため、顧客の成長に合わせた自社の商品とサービスの成長が重要です。
自社の業界特性や、顧客分析、外部環境分析を定期的におこない、顧客の解像度を常に高く保ちます。顧客に変化が起きている時は、顧客の体験が変化していると想定して、カスタマーサクセスの方向性も修正し、自社らしいカスタマーサクセスを実現していきます。
弊社では、カスタマーサクセスのプロセス構築や戦略策定支援を無料にてご相談を受付しておりますので、お気軽にご相談ください。
内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)
業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。
SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)
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