コラム

オンボーディングとプロダクトマーケットフィット(PMF)の関係について~カスタマーサクセス活動~

2023.04.27

カスタマーサクセスを実現するために準備することや重要な要素について、過去のコラムで紹介してきました。

今回は、オンボーディングとプロダクトマーケットフィット(PMF)の関係について説明します。

カスタマーサクセスとは、自社の商品やサービスの導入により、顧客のビジネス・生活で具体的な実績が出ること(効率性・生産性の向上)、顧客が自社の商品やサービスに対して満足したという実感を得ることで、顧客の人生に利益が出ること(顧客満足度向上)です。

このカスタマーサクセスを実現するためには、マーケティング部門やプロダクト部門との連携が必要不可欠です。

SaaSでは特にこの横連携を機能させ、「マーケットが求めているプロダクトになっているのか」を確認しながら事業をスケールさせていきます。

「理想的なペルソナにプロダクトが届いているのか」「継続利用してもらえるプロダクトなのか」を調査するカスタマーサクセス部門と連携し、事業責任者や経営メンバーはプロダクトの改善をおこないます。

この時に、マーケットとフィットさせるために重要なプロセスがあります。カスタマーサクセス部門でおこなうオンボーディングというプロセスです。

このオンボーディングとは、顧客が製品やサービスを正しく理解し、最大限の価値を引き出すために必要な手順やプロセスです。

顧客がどのような体験をしているのか、顧客が求めている体験は何かを追求します。そのため、顧客の声を聞いてプロダクトへフィードバックをおこない、顧客のニーズや要望とフィットさせていきます。

オンボーディングとは

カスタマーサクセスに必要なオンボーディングとは、顧客が製品やサービスを正しく理解し、最大限の価値を引き出すために必要な手順やプロセスです。

サービスの理解不足によるチャーンを防ぐため、ユーザーをフォローし、継続して利用してもらいます。

ユーザーの初期定着支援をおこない、ここで躓いてしまうと、その後ユーザーがサービスを利用して成果を上げることは非常に困難になってしまいます。

特にSaaSは継続利用が売上の基盤となるため、早期にユーザーを定着させる必要があります。

ユーザーは製品を使いこなせないことでストレスがかかり、思っていた状況がうまれず解約を考えます。

そのため、ユーザーが早期に使いこなせる状態にすることで解約を回避し、安定した収益を確保することができます。

「使いづらい」「不要」と判断されれば、すぐに解約されてしまいますが、逆に「使いやすい」「必要」と判断すると継続利用になります。

1.アカウント作成

製品やサービスを利用するためには、顧客がアカウントを作成する必要があります。

この手順では、顧客が簡単かつ迅速にアカウントを作成できるように、必要な情報収集やアカウント認証を行いますの手順を提供する必要があります。

製品の説明をおこなう日程の調整も同時におこないます。

2.製品の概要

次のステップは、製品やサービスの概要を提供することです。

このステップでは、製品やサービスの機能、利点、使用方法についての情報を提供する必要があります。ステップが完了すると、顧客は製品やサービスをより良く理解し、最適な利用方法を見つけることができます。

事前に資料を配布したり、デモ画面を提供し、製品を触ってもらっておくと、製品の概要を説明する時に深い理解につながります。

3.データ入力・初期設定

顧客が製品やサービスを利用するためには、データ入力・初期設定をする必要がある場合があります。

このステップでは、必要なデータ入力フィールドを提供し、顧客が必要な情報を正確に入力します。

顧客の状況によっては、初期設定を一緒におこないます。顧客が利用したい方法や設定を事前に確認しておくと、躓くポイントも予測できるため的確なアドバイスができるようになります。

4.トレーニング

製品やサービスが複雑である場合、顧客がそれを最大限に活用するためには、トレーニングが必要になる場合があります。

このステップでは、製品やサービスの機能や操作方法について、顧客に詳細なトレーニングを提供する必要があります。

顧客に一気に全ての機能を触って操作するのではなく、順番を決めて、慣れさせていきます。

操作状況をデータで確認しがら、チャットやメールでサポートします。場合によっては、オンラインで対応し理解を深めてもらいます。

5.フィードバックの収集

顧客が製品やサービスを使用している間に得られたフィードバックを収集する必要があります。

このステップでは、顧客のフィードバックを収集し、製品やサービスの改善に役立ちます情報を得ることができます。

アンケートや直接インタビューすることで、顧客の要望や使ってみてからの感想を聞いて、製品の改善をおこないます。

経営メンバーや開発部門へフィードバックをおこないます。経営メンバーや開発部門は改善内容を迅速に対応し顧客へ還元します。

プロダクトマーケットフィット(PMF)とは

プロダクトマーケットフィット(PMF)とは、ある製品が市場に適合しているかどうかを指します。最適な市場で最適な製品が提供されていることで価値が生まれます。

プロダクトマーケットフィット(PMF)を達成するには、以下のステップがあります。

STEP1

市場のニーズを理解する:製品がどのような問題を解決できるのか、どのような顧客ニーズに対応しているのかを理解します。

市場分析の例:PEST分析、3C分析、5力分析

STEP2

製品の特徴を明確にする:製品の特徴を明確にし、顧客がどのような価値を得られるのかを整理し示します。

STEP3

その顧客を明確にする:どのような顧客に製品を販売するのかを明確にし、その顧客がどのような特徴を持つのかを把握します。

顧客分析の例:カスタマージャニー、ペルソナ設定、バリュープロポジションキャンバス

STEP4

製品の改善:お客様からのフィードバックを収集し、製品を改善します。直接インタビューをおこなうことで顧客の解像度を向上させます。

収集方法:アンケート、インタビュー

STEP5

成功の評価:製品が市場で成功したかどうかを評価し、必要に応じて改善を行います。なるべく迅速な対応で製品の改善をおこない顧客に還元します。

オンボーディングとプロダクトマーケットフィット(PMF)の関係

オンボーディングとプロダクトマーケットフィット(PMF)について説明してきました。

プロダクトマーケットフィット(PMF)が達成されるには、顧客のよい体験、製品が利用される市場、最適なサービス提供が重要です。

これを実現するためにオンボーディングが必要になります。

市場があるためとりあえずリリースする、顧客の声を聞かずに製品の機能を開発する、アップデートするとなると、市場がどれほど存在してもその製品は利用されなくなります。

オンボーディングで顧客の体験をデザインして、良い体験を作ります。悪い体験は、フィードバックし改善します。PDCAを回して製品をマーケットにフィットさせていきます。

繰り返し顧客の声を聞きながら、理想的な顧客に製品が購入してもらえ、継続利用してもらえる状態を目指します。

このような状態までいくとプロダクトマーケットフィット(PMF)が達成となります。

まずは、製品で顧客や市場が抱える課題を解決することにフィットさせ、仮の成功基準や達成基準を決めてカスタマーサクセス活動のオンボーディングをおこないます。

検証期間やKPIを決め、初期の定着率を維持・向上します。成功基準や達成基準は、プロダクトマーケットフィット(PMF)が完了することで明確になります。

開発部門で製品を開発・改善し、カスタマーサクセス部門はオンボーディングで良い顧客体験をサポートして、満足度を向上させます。

お互いに密接な関係でコミュニケーションをおこない事業成長を目指す関係です。

まとめ

良い顧客体験作りのためには、製品や仕組みでおこなう面と人が介入することでおこなう面があります。

特に製品を開発しリリースする初期段階では、仮の成功基準や達成基準を決めてカスタマーサクセス活動のオンボーディングと連携しながら良い体験作りをします。

プロダクトマーケットフィット(PMF)が完了することで、良い体験の下地が出来上がるので、製品のリリース初期から、カスタマーサクセス部門は連携することが重要です。

プロダクトマーケットフィット(PMF)が未完了の状態では、市場は存在するため一定の販売は可能かも知れませんが、ずっと使い続けてくれる状況にはなりません。

そのため、チャーンが防げすに新規獲得に追われることになります。良い顧客体験と製品をリリースする市場の状態、理想的な顧客が誰なのかを把握し、製品をマーケットにリリースしていくことが重要です。

弊社では、カスタマーサクセスのプロセス構築や戦略策定支援を無料にてご相談を受付しておりますので、お気軽にご相談ください。

寄稿者

内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)

業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。

SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)

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