2020.12.28
代表の廣瀬です。
前回のコラム「「マーケティング」という言葉に対する大きな勘違い①」では、”マーケティング”という言葉の認識のブレによって、マーケティングのチームが経営層の期待に応えることができていない、そんなことが起きているのではないかと問題提起をしました。
では今回は更にテーマを深堀りし、”マーケティング”という言葉の定義についてお話ししたいと思います。
マーケティングは解決策から入るべきではない、そう考えます。まず自社のマーケティング戦略を立案すること、そのためには自業界を分析し、自社の現在とあるべき姿のギャップを明確化する。その”課題解決のプロセス”抜きではマーケティングは行うべきではありません。
世の中にはソリューションやツールが溢れています。例えば何か課題が見つかればまずは検索してみます。現代においてはのび太がドラえもんに聞くように検索ワードを入力すれば、検索連動広告(リスティング広告)が表示され、もっともらしいことが書かれたリンクを押すと「こんな悩みをありませんか?」「このように解決します」という細長いページに到達する。眺めているとまさに自社の悩み。「解決するにはこのツールだ!」と導入を前向きに考えながら、お問い合わせボタンを押す…誰しもこんな経験はお持ちなのではないでしょうか?
まず申しておきたいのは、課題が特定できていないのにソリューションを導入しても多くの場合で解決できません。解決したとしたらまさに運命的な出会い、幸運だと思ってください。
この論点を説明するために、よく病気で例えます。
例えば頭痛がする、熱がある…などの症状があったとします。その要因を明らかにして、解決策として導いてくれるのはドクターです。多くの場合においては、症状の具体名を付けてその後の治療方針を提示し、必要に応じた処置や投薬などを行ってくださるのではないでしょうか。この一連の流れは当然のご理解かと思います。では前述のようにマーケティングの課題を特定せずソリューションを採用するとはどういうことなのでしょうか。病気の実例で言えば、何の症状かがわからないのに「なんとなく頭痛に効くから」という理由で処置や投薬を始めるようなものです。おわかりの通り、治癒しない可能性があるばかりか、副作用や他の症状が現れるかもしれません。当初のマーケティングでの課題を特定せずにソリューションを採用することによって更に症状を重くする、そんなことも起きうるでしょう。
経営者の方にとってマーケティングとは実際なにか。それは”企業の経営そのもの”であると理解頂いて構いません。つまり”すべて”の企画や製造工程、予算組、組織や営業体制に相互で影響を与える存在、それがマーケターの本来の姿です。マーケターは常に経営層と期待値を数値含め調整した上で、その課題を分析し、ギャップを明確化してから、戦略の立案を行う。戦略が明確化してから始めてギャップを埋めて戦略を実行していく上で必要なソリューション探しという流れにあるべきです。
ではこのギャップを導き出す拠り所、それは次回にまた書いていきたいと思います。