2022.11.15
前々回の記事で、カスタマーサクセスとは、能動的に顧客の問題を洗い出し、顧客の成功体験の最大化と、それによって発生する売上や利益の増加、以前の顧客体験よりも良質な体験に変化させる事を目的とした活動という説明をおこないました。
では、カスタマーサクセスのためにはどのような業務が必要なのか今回ご説明します。
自社商品・サービスの新規契約の進行段階で営業チームとの連携が発生する場合があります。
この段階での業務は、自社商品・サービスの利用を検討している顧客に対して、サービスの内容や課題解決の提案のサポートをおこないます。
営業チームと連携して購入前の説明会や資料による提案を実施します。
顧客の実現したいことを把握することで導入支援をスムーズにおこなうことができます。
自社商品・サービスの契約が完了すると、導入支援・オンボーディング(利用促進)をおこないます。
導入支援とは、「使いやすい」「操作しやすい」と感じてもらうことで、利用開始時につまずかないための重要な支援です。
商品やサービス内容によって、顧客先への訪問支援・オンラインミーティング支援・複数ユーザーを集めての勉強会・チャットや電話による支援をおこない導入支援を実施します。
導入支援の期間は、4週間から3ヶ月程度の期間で設計し、「まずは継続して使ってもらうこと」を目的とします。
ここでの重要なポイントは、顧客からの連絡を待つなど受け身の姿勢ではなく、積極的に課題解決に向けて関わることです。
”カスタマーサクセスは攻めの姿勢と言われていますが、いかにして顧客との接点を適切に保ちながら支援できるかがポイントになります”
次に、オンボーディング(利用促進)とは、導入支援の期間が完了した後に、顧客が導入時に考えていた実現したいとを実現するために「まずは継続して使ってもらうこと」から「課題解決に向けて継続して使ってもらうこと」の支援をおこないます。
定期的に、オンラインによる支援や顧客の不明点を解消するための提案を実施します。
期間は、導入完了から3ヶ月程度の期間支援し利用の定着を促進することで、解約を防ぐことになります。
”課題を早期に解決しながら、実現したいことのために機能理解の促進や使い方・操作について基礎的なことから応用編を覚えて利用していく支援を継続することがポイントになります”
オンボーディング(利用促進)が完了すると、顧客の利用状況や利用に伴い様々なデータが取得できます。
そのデータをもとに、自社商品・サービスのアダプション(定着)を進めます。
自社の商品やサービスを数値化しスコア化した「ヘルススコア」と呼ばれるものを活用し、顧客の状況把握とアプローチ方法を準備します。
「課題解決に向けて継続して使ってもらうこと」から「顧客の実現したいことを自社の商品やサービスで実現してもらうこと」を目指します。
このアダプション(定着)の進み具合によって、顧客に対して現在利用しているものよりも上位の高価格なサービスやプロダクトの販売提案が可能になります。
このことをアップセルと言います。
アップセルに似た言葉で、クロスセルというのものもあり、顧客に対して現在利用中のサービス・プロダクトに関連するものをセットで契約・購入してもらえる販売提案になります。
”顧客が導入を通じて実現したいことを達成するために、本格的にサービスを運用・活用し、アダプション(定着)をおこないます”
解約率(チャーンレート)が高くなることは、事業成長の妨げになります。
解約が増えることで利益縮小につながります。
そのため、カスタマーサクセスは利用状況などを数値化したヘルススコアを用いて顧客を適切にフォローし、常にチャーンレートを低く維持することに注力します。
また、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化も重要な指標になります。
なぜなら、カスタマーサクセスの積極的な行動によりLTV(ライフタイムバリュー )が上がること=継続利用されている、継続利用するきっかけが与えられている状態になるからです。
⚪︎ヘルスススコアは顧客がサービスを継続利用するかどうか、継続利用するきっかけを失っていないか、解約の確率が高まってないかを判断する指標です。顧客が自社の商品やサービスを上手く活用できている状態であればヘルススコアが高く、継続の確率が高い健康状態と判断できます。
ヘルススコアを算出するデータは、自社の商品やサービス・ビジネス形態によって異なります。
⚪︎例:MAU、DAU、WAU、ログイン回数、各機能の利用数や利用率、実現したいことの達成状況
”ヘルススコアを活用することで、顧客の利用状況が把握できるため、解約の未然防止やどのタイミングでアプローチが必要なのかが明確となり効率的に行動することができます。”
⚪︎解約率(チャーンレート)とは、全ユーザーのうち解約ユーザーの割合を算出した「解約率」のことです。
SaaSやサブスクリプションモデルでは、解約率(チャーンレート)はサービスの成長度合いやユーザーからの必要度合いを示す重要な指標です。
チャーンレートには顧客数を軸にしたカスタマーチャーンレートと収益を軸にしたレベニューチャーンレートがあります。
ビジネスモデルによって、カスタマーチャーンレートのみを指標とする場合もありますが、レベニューチャーンレートを同時に活用することで更なる分析が可能な場合もあります。
”顧客が自社商品やサービスに対して満足して利用しているのか、満足度が不足しているのか適切に見極めることで解約防止の行動をおこないます”
⚪︎LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客生涯価値のことです。
顧客から生涯にわたって得られる利益のことで、1回の取引で得られる利益だけではなく、2回目以降の取引で得られる利益も含めて考えます。
顧客が満足して自社商品やサービスを利用していることでエンゲージメントが高く、サービスを長期的に利用する可能性が高いと考えられLTV(ライフタイムバリュー)は高くなります。
”「まずは継続して使ってもらうこと」から「課題解決に向けて継続して使ってもらうこと」へとステップを踏み、最後に「顧客の実現したいことを自社の商品やサービスで実現してもらうこと」が達成されることでLTV最大化へとつなげます”
適切な提案・対応をおこない顧客に積極的な関与を実施します。
”顧客との対話やデータから何が問題かを見つけ出し、解決できるか方法をを提案するため、コンサルティングに近いスキルがカスタマーサクセスにも求められます。”
カスタマーサクセスは、自社の商品やサービスによって、顧客へ関与する方法が異ります。
導入支援からアダプション(定着)までのステップで顧客にどのような提供価値をおこなうのか設計し、顧客の成長に合わせた提供価値の変化が重要になります。
決して受け身にならずに積極的に関わることで、顧客の声を聞き逃さないようにします。
また、カスタマーサクセスをおこなうにはデータを分析し課題の特定・改善アクションの提案が必要です。顧客の生の声とデータから見える顧客の声を拾って自社の商品やサービスの改善につなげ顧客満足度を高める努力を継続していきましょう。
内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)
業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。
SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)
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