2022.12.21
カスタマーサクセスを組織で取り組む場合、データ活用は重要なポイントになります。
今までの取り組みやこれからの取り組みに関してデータを起点にした自社サービス・商品の改善と組織内のプロセスの改善をおこない、顧客体験価値を意識した顧客対応とサービス提供が求められます。今回は、データ活用の方法やその過程での課題についてまとめていきます。
目次
最初に、カスタマーサクセスを組織に取り入れて実行していくためにデータを活用する理由や、その重要性について整理していきます。
重要なポイントとして、カスタマーサクセスを実現するにはいかにして主観性を排除して透明性の高いアクションを進めていく必要があり、そのためにデータを活用します。
データがアクションの起点になっていないと自社のサービス・商品を提供する中で、顧客対応で感じた個人の主観に頼ったアクションを進めることがあります。また、KPIが設計されていない場合、成果がどうなったのか不明であり、振り返りができないままアクションが終了し、次のアクションも同じような結果になります。
ペルソナやターゲットを設定している場合、顧客はどのような人たちであり、どのようなアプローチをするのか、どのセグメントを優先的にフォローしてサクセスさせるのかなど決定していきます。
データ活用がうまくいっていないと、個人の今までの経験や勘に頼ったり、どの情報を扱うべきか決められずサクセス活動が曖昧なままの取り組みになります。
能動的に動くことが求められているにもかかわらず、どう動けばいいのか判断できないため、結果、顧客からのアプローチを待つことになります。
その都度、課題や問題が発生し、発生してから改善施策を考え実行するため顧客が求める動きから数歩遅れた取り組みになります。
都度の対応のためナレッジも蓄積されず属人的な方法になり再現性のないオペレーションになりメンバーの負担が増加します。
主観性を排除して透明性の高いアクションを進めていくには、データを用いいて、明確な行動指標として活用し、再現性のあるプロセスを構築し、データをもとに振り返りをおこなうことが重要です。
そのため、顧客データをきちんと整備し活用していく必要性と顧客の状況がわかるデータを誰もがいつでも確認できる環境作りが求められます。
1.データ取得
顧客の成功のために必要なデータを定義し収集します。
自社のサービスや商品を顧客に提供する上で重要な指標を設計し、取得できていないデータを取得できるための仕組みの構築やデータの定義を決め、誰が見ても迷わずにデータを確認できる状態にします。とりあえず取得するのではなく、事業成長に必要なデータを選別します。
2.レポート
取得したデータを可視化することで、誰でもアクセスでき実行しているアクションの進捗が簡単に確認できるようにします。ポイントはいつでも誰でも見れることです。
データをレポートする時に、手間がかかる、操作が難しいという問題があると継続してレポートすることに時間がかり業務の負担になってしまいます。
3.解析
レポートから支援が必要な顧客をみつけ、課題を読み取り能動的な関わりかたを決定します。
データをスコア化したり、データの切り分け方を決めて解析します。顧客の支援のビフォーアフターを比較して顧客の成功の進捗が確認できる仕組みも構築します。
4.意思決定
顧客の課題を解決するために、なにをすべきかを判断し、リソース調整をおこないます。
期限やオーナーを決め、プロジェクト化して進めたり、アクションに必要なヒト・モノ・カネの調整をします。顧客の成功のために短期的に取り組むアクション、中期的に取り組むアクションをフェーズ分けと優先順位づけを決定します。
5.アクション
顧客に必要な支援を実際におこない、顧客の成功につなげる取り組みを継続します。
組織で意思決定したアクションをチームや個人で取り組みますので、進捗が誰でも見れるようにして実行します。定期的に振り返りや相談の時間を設定し、目的達成のためにアクションを修正したり、追加します。
6.提供価値の振り返り
アクションを実行し、結果として、顧客の課題解決や目標達成ができ、自社のサービスや商品が継続利用されている状態にします。
データをもとにして、提供価値が顧客の課題解決や目標達成に貢献できているかを観測します。観測した結果を振り返り、データの整備やアクションの改善もおこないます。
実際に顧客が商品や製品を導入していく流れと、データを活用していく事例について説明します。
顧客は商品を導入する際に、現状の課題解決や業務効率化を目的として商品やサービスを導入します。
顧客の業界や業種などにより業務プロセスは異なっており、導入する前と後では反応が違うことがあります。
商品の理解度を深めるために顧客が試しで色々な機能を触っており、導入からアダプションまでの期間で、使ってもらうことで継続利用につながる活用をしています。
導入初期から3ヶ月目経過前まで操作や業務プロセスに取り入れることに苦戦していましたが、3ヶ月経つと一気に活用状況が改善され継続利用が期待できる活用をしています。
導入してからの活用できるまでの立ち上がりが鈍く、業務プロセスが煩雑化している可能性があります。導入前の期待値と異なるため解約のリスクが発生しています。
上記の顧客それぞれ活用状況が異なり、商品の継続率に影響があります。
この継続してもらえるかどうかや解約リスクはないか、導入して困っていないかをデータで観測して積極的に支援するためにデータを活用します。例えば下記のようなデータを確認しながら、顧客の状態を把握して、データを起点にした適切な顧客への関与を繰り返すことが求められます。
毎日ログインしているのか〇〇機能は使っているのか、使い方で業務プロセスを簡素化できる方法が提案できないかなど顧客体験を意識してデータを活用します。
ログイン率:MAU、DAU、WAUといったアクティブに活用しているか確認します。
設定状況:それぞれの機能で何を使っているか使っていないか確認します。
コンテンツ利用状況:商品に10個の機能があれば、その機能をどれくらい使い倒しているのか確認します。
契約プラン:プランによって導入してからの期待値が異なるため、契約期間や契約金額を確認します。
カスタマーサクセスでデータ活用する場合、リアクティブな活動よりもプロアクティブな活動をします。
データを取得し分析と解析を継続的におこなうことで、一から十までプロセスが決まらないと実行できない状態を作るのではなく、70%程度の状態でデータをもとに実行することで振り返りと改善を高速で回転させることができます。
短期アクションにしても、中期アクションにしてもアクションに有効なのかどういう効果があるのか、課題が新たに発生していないかを定期的に観測しながら進めます。
やりっぱなしにならずに期限やゴールを決め、無駄なアクションにならないよいうにリソースと時間を有効活用します。
起きそうな課題や問題を先読みする思考をデータをもとに仮設立てすることで、顧客の一歩先のアクションを実行することです。その結果、自社の商品やサービスの利用率・継続率の向上、解約率の低減、顧客満足度の向上、LTVの最大化につながる活動です。
カスタマーサクセスにおけるデータ活用について説明しました。
データ活用は特定の業界や業種のみで取り入れていくものではなく、業界業種問わず、自社の商品やサービスを顧客に継続利用してもらい事業成長につなげるためには必要なものです。
まずは、自社でどういうデータが取得できているのか、誰がどういうデータを見ているのか、どういうデータをみて事業成長につなげるのか整理していくことから始めていくことが重要です。
顧客の体験を向上させるためにプロイアクティブなアクションを起こし、自社なりのカスタマーサクセスを実現していきましょう。
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内山直幸(CX Value Lab株式会社シニアコンサルタント)
業界最大手の広告代理店にてセールス、事業企画、マネジメント業務に従事、最大手フリマアプリ企業のカスタマーサービスのマネジメント、医療系スタートアップの事業推進を経て、CX Value Lab株式会社に入社。
SaaSベンチャー企業の支援や中小企業のカスタマーサクセス支援、カスタマーサポート支援、新規事業・DX化支援、組織マネジメントの伴走支援を行う。グロービス経営大学院大学卒業(経営学修士・MBA)
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